<ボクシング>計量失敗で亀田大毅は有利か不利か?
■計量失敗が与える心理的影響とは 相手が計量失敗という事態は、ボクサーにどういう心理的影響を与えるのだろうか? ノーウッド戦を戦った松本・現トレーナーに当時を振り返ってもらった。 「当時は、計量失敗なんてことは世界戦では、あまりなかったのでビックリしたのと同時に世界戦という大舞台を台無しにされた怒りで一杯でした。悔しかったです。『こんな約束も守れない奴に絶対に負けられない』という気持ちでリングに上がったことを覚えています。でも、試合では歯が立ちませんでした。終盤勝負を考えていたのですが、前半からいいパンチをもらいました。後から聞くと『無理して減量して負けるよりもタイトルを失っても自分のキャリアに負けをつけないため開き直ってオーバーした』という話も聞きました。一部のメディアには『抜け殻に負けた』と書かれましたが、大間違いです。計量を失敗した相手は、本当に体調を崩して抜け殻になる場合と、勝つことを最優先に計算し た上で減量に無理しない場合がありますから。それは実際にリングに上がるまでわかりません」 ノーウッド vs 松本戦のケースでは、王者は、たとえタイトルを失っても無理な減量の影響で敗者となることを拒否したのだ。そういうモチベーションの持ち方をしてくるボクサーもいるから一概に相手が計量に失敗したから有利に運ぶとは言えない。 ■失格を受け入れるも敗者は拒否 では、今回のソリスはどうなのだろう。 松本トレーナーは、「あくまでも、私の個人的意見で想像でしか言えませんが」と前置きした上で「ボクサーにとって短時間で1キロ近くをそぎ落とすというのは、どれだけ辛いことか。ソリスが無理して落としてコンディションを崩すよりも、たとえタイトルを失っても勝てば、また世界挑戦のチャンスがくると考えて余力を残していたら怖いですよ。1、2ラウンドの動きを見れば、わかるんじゃないですか」と私見を口にした。 日本で2度目となるはずの統一戦は違った意味で注目の1戦になりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)