重機やフォークリフトの事故を減らす「後付け監視役」! 見た目はカワイイが効果抜群の「ドボレコ」「フォクレコ」の役割とは?
大きく複雑な形の建機には死角が存在
各地の現場で活躍する建設機械(建機・重機)。力強い動きで多くの作業をこなしていく。その迫力を目の当たりにすれば、一度は自身で操作してみたいと思う人も多いだろう。しかし、そのオペレーションには熟練の技を必要とする。決して、未経験者が一朝一夕に操れるものではないのだ。 【写真】直径4mに重さ5トン! ORタイヤとは とくに大型重機の場合には作業の難しさだけではなく、まわりに対する安全性により一層の配慮をしなければならない。それは、ボディが大きく複雑な形をしているために、オペレーターからの死角が多数あるからだ。加えて、現場のほとんどが複雑な地形や障害物に囲まれた場所であり、どこにどのような危険が潜んでいるかわからない。ゆえに、操縦には細心の注意が求められる。 少しでもこれらの危険を減らすためには、ベテランのオペレーターを多数採用したり、監視員や交通整理員をより多く配置したりすればよいのだが、2024年問題もあって人手不足は深刻な状態にあるといえる。そこで、土木・建築現場にもDX(デジタルトランスフォーメーション、データ/AI/IoTなどのデジタル技術を活用し、業務プロセスの改善など行うこと)化が求められるようになったのだ。 このような状況のなかで注目されてきているのが、ザクティの開発した重機取付型セーフティカメラシステム「ドボレコJK」である。これは、建機に装着したカメラからの映像をAIで解析し、いち早く危険を探知して接触事故などを未然に防ぐためのシステムだ。建機メーカー純正品ではなくあと付け可能な市販品だから、すでに活躍している重機にも装着することができる。こういった汎用性の高さが、魅力のひとつになっているといってもよいだろう。
後付けできるのが「ドボレコ」の魅力
特徴はおもに3つ。 「セーフティアラート機能」は、AIで画像を処理して重機周辺にいる人物の距離を計測し、モニター表示や音でオペレーターにその接近を警告する。人物の検知から警告まで、わずか0.4秒という早さである。オプションで警告灯を追加すれば、それと連動させることが可能になるので、危険のあることを広範囲に周知することができる。 「ドライブレコーダー機能」はその名のとおり、重機稼働中にその状況を録画するもの。画像データはマイクロSDカードに保存するだけではなく、クラウドサーバーに遠隔保存し、それを本社や営業所でモニタリングすることもできるのだ。このクラウドサービスは「LIVE&VOD」とよばれ、オプション契約が必要だ。管理者がリアルタイムで現場の様子を把握できるなど、業務改善や効率化に有効なシステムだといえよう。 「重機自動停止機能」は重機の油圧制御システムに接続することで、AIが人の接近を検知した際に制御信号を出力し、重機を自動的に停止させるものだ。トラックの運転支援装置に近い位置付けにあるので、あくまでオペレーターを補助するシステムということであろう。 「ドボレコ」のシステムで特徴的なのは、センサー部にあたるカメラの仕様だ。水平270°という画角の広さをもっており、大型重機でも後方に2台設置すれば側面から後方までをほぼカバーする。小型建機であれば1台あればよく、これは「ドボレコS」として、またフォークリフト仕様は「フォクレコ」としてパッケージ化されている。「ドボレコ」の利便性は、このように後付けが可能なことだ。 近い将来、こういったシステムは当たり前のように搭載されて、いずれはロボット化された無人建機が、そこここで活躍する時代が来ることになるだろう。
トラック魂編集部