今オフも活況を呈するトレードやFAなどの移籍市場 監督の好き嫌いで行う交換劇はチーム崩壊の危機を招く【堀内恒夫の悪太郎の遺言状】
不可解な京田と阿部の放出劇 立浪監督の意に添わぬ打撃論
今オフにトレードで中日からDeNAへ移籍した京田。中日にとっては重要な選手であったはずだが、果たして──
今オフも移籍市場が活況を呈している。特に俺が驚いたのは、ポスティングシステムでメジャー移籍を表明していたオリックスの主砲・吉田正尚が、早々とレッドソックスと契約を交わしたことだね。 確かに吉田の打撃は見るべきものがある。だが、守備力と走力はメジャーのレベルで通用するかどうか、疑問視されていた。ところが、レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パークは、レフトが狭くて、グリーンモンスターと呼ばれる高さ11.3メートルのフェンスがそびえ立っているからね。例え守備に課題がある吉田でも、クッションボールの処理さえ間違えなければ、レフトを守ることは十分に可能だ。本当に吉田は自分に合った良いチームを見つけたと思うよ。 日本国内でも、今オフは大きな動きがあった。中日がショートで守備の名手・京田陽太を放出して、DeNAの中継ぎ左腕・砂田毅樹を獲得した。さらに今季はケガ人続出で、外野とセカンド、サードを守って133試合に出場した阿部寿樹を放出して、楽天から涌井秀章を獲得している。 立浪和義監督はいったい何を考えているのかね。京田は守りの要になれる選手だよ。確かに中日は左の中継ぎが不足しているから、砂田が欲しいという気持ちは分かるけれどね。 調子に波はあるが、阿部の打力は買える。だから放出するにはもったいないと思うけれどね。一方の涌井は、今季わずか4勝(3敗)で、2年連続して2ケタ勝利から遠ざかっている。西武とロッテでエースとして投げていたときとは違い、もう全盛期を過ぎたピッチャーだからね。獲得することに関しては理解に苦しむよ。 京田と阿部は、打撃理論が立浪監督の意に添わなかったとでも言うのかな。中日は良いピッチャーがたくさんいる。投手力より攻撃力が劣っているのに、バッターを放出して、ピッチャーを獲りにいったことは、とにかく「不可解」の一言だね。 トレードは、どんなチームでも頻繁に行ったほうが良いと思う。でも、これまで日本の球界は、生え抜き重視がすう勢を占めていた。だから、どこか欠点や欠陥のある選手がトレードで放出されていたわけだよ。 本来なら12球団の各チームが・・・
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週刊ベースボール