三瀬の渡し、峠越え体験 保存会など協力で実現 三瀬谷小3、4年、熊野古道で
三重県多気郡大台町佐原の町立三瀬谷小学校(池村一平校長、133人)の3、4年生53人が6日午前9時すぎから、熊野古道伊勢路の「三瀬の渡し」や三瀬坂峠越えなどを体験し、江戸時代に伊勢詣でから熊野三山に向かう巡礼者がたどった道に思いをはせた。 この取り組みは、町やNPO法人大杉谷自然学校などで構成する「町子どもプロジェクト推進協議会」が主催し、地元で熊野古道の保存に努める三瀬の渡し保存会や、度会郡大紀町の三瀬坂峠を守る会が協力して実現した。 「三瀬の渡し」は、大台町下三瀬の住民を中心に構成する「三瀬の渡し保存会」(前納俊郎会長、24人)が保存と運営に携わっている。昨年の台風で渡しに使う舟が流されたものの、同会のメンバーが新しく舟を調達し、修繕を重ねて今年4月におよそ9カ月ぶりに再始動していた。 この日は、同会のメンバー8人が小学生を迎え入れ、4年生、3年生の順に乗船。宮川は先週末の雨で増水していたものの、風は穏やかで秋晴れの天候に恵まれた。ライフジャケットを着用した子供たちは、雄大な宮川の景色を眺めながら、大台町下三瀬から宮川対岸の度会郡大紀町三瀬川までの約50㍍をゆっくりと舟で渡った。その後、標高256㍍、全長約2㌔の三瀬坂峠を歩いた。 4年・吉田美織さんは「(舟に乗り込む時に揺れて)ちょっと怖かったけど、風が涼しくて楽しかった。今度はもっと長く乗ってみたいです」、同・山本ゆめさんは「(舟が)揺れて、水面とも近くて怖かったけど、楽しみにしていた。よかった」とそれぞれ話した。 前納会長(78)は「昨年は子供たちに体験してもらえなかったので、できてよかった。メンバーも高齢化しているが、子供たちに喜んでもらえて元気が湧いてきますね」と笑顔で語った。