「甘い飲み物」をよく飲む人は認知症になる率が高くなる!その納得のメカニズムとは?【老年医学専門医・山田悠史】
カロリーゼロの人工甘味料でも関係なし!
また、同様のリスク増加は、残念ながら人工甘味料を用いた「カロリーゼロ」の飲み物や「健康に良い」はずの果物のジュースでも見られており、人工甘味料や果物のジュースが糖尿病リスクという意味では良い置き換えにならない可能性も指摘されています(参考文献2)。「カロリーゼロ」スイーツも封じられてしまい、もうスイーツ男子の私には逃げ場がないというわけです。 清涼飲料水が糖尿病を導く理由は様々に考えられていますが、中でも、体重増加が最も重要な要因である可能性が高いようです。先述の研究でも、調査期間中に清涼飲料水の摂取量を増やした女性は、摂取量が変わらなかった女性と比べて、より大きな体重増加を経験しています(参考文献1)。これは、甘い飲み物による糖尿病リスク上昇の主なメカニズムが体重増加である可能性を示唆していると言ってよいでしょう。 そして、なぜここで糖尿病リスクを話題にするかと言えば、もうお気づきかもしれませんが、糖尿病もまた、認知症の大きな要因の一つであると考えられているからです。
糖尿病に若くしてなるほど、認知症になる率が高まる
あなたは糖尿病について、もしかすると単に血糖値が高くなる病気としか考えていなかったかもしれません。あるいは、目や腎臓が悪くなる病気ということはご存知だったかもしれません。しかし、実は認知症とも深く関わっているのです。 糖尿病、中でも2型糖尿病は、認知症発症のリスクを高める重要な要因として知られるようになりました。また、最近の研究によれば、「糖尿病をいつ発症するか」も認知症リスクに大きな影響を与えることが分かってきました。 ある大規模な研究では、2型糖尿病の発症年齢が5歳若くなるごとに、認知症のリスクが24%も増加することが報告されています(参考文献3)。つまり、若くして糖尿病になればなるほど、将来認知症になるリスクが高まるのです。一方で、70歳を過ぎてから糖尿病を発症した場合、認知症リスクとの関連はそれほど明確ではありません。つまり、特に働き盛りのうちに糖尿病を発症しないよう予防することが、認知症予防にもつながりそうなのです。 ビジネスパーソンが、仕事の引退が間近になって、仕事に余裕が生まれ、急に健康に気をつけ始めるというのを医師として目にすることが度々ありますが、それでは間に合わないかもしれないということです。 前回記事「「塩分と認知症」刺身には醤油たっぷり、味噌汁は濃いめ、漬け物大好きなら要注意!【医師・山田悠史】」>>
山田 悠史