〝盟友〟王選手の756号を祝うスーパージャンプ! イチローが絶賛「めっちゃいい人」 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<21>
《令和6年の今年、球団創設90周年を迎えた巨人。本拠地の東京ドームでは5月3日の阪神戦で「長嶋茂雄DAY」と銘打つレジェンドをたたえるセレモニーが行われたが、同月28日のソフトバンクとの交流戦「王貞治DAY」には〝盟友〟の張本さんも駆け付けた。つえをついての登場に…》 【写真】記念写真に納まる張本勲さん、王貞治さん、原辰徳さん、巨人の阿部慎之助監督、ソフトバンクの小久保裕紀監督 春先に腰の手術をして、それから前立腺もやって。今はもうすっかり元気です。あの日、医者からは外出を控えるように言われていた。でもワン(王)ちゃんのためなら這(は)ってでも行かなきゃいかんだろうって。あの試合はもう47年前になるんですね。 《あの試合とは移籍2年目の昭和52年9月3日ヤクルト戦(後楽園)。王さんは鈴木康二朗投手から756号本塁打を放ち、世界記録を達成した。その瞬間、喜びを爆発させるスーパージャンプ!》 ワンちゃんのホームランが出たとき、跳びあがったのは無意識でしたよ。ウォワーッって感じでね。意識してたらあんなに跳べないよ。後で写真を見たけど、よくもまあ、こんなに跳んだなって。自分でも本当にうれしかったねぇ。 王はね、やっぱりライバルだけど、友人ですからね。普通は同僚が殊勲打を打っても心の中では誰も喜ぶヤツはいないんだ。ベンチに戻ってきて、皆ハイタッチなどしてるけど、心の中は違う。喜んでいるのはその日投げている投手、監督、コーチだけですよ。格好つけて喜んでいるだけ。打者は「俺がやるところを、お前がやりやがって」って思っている。 でもあのときはね、心底喜びましたよ。記録を追求する人の気持ちがわかるから、早く達成してもらいたいって。さすがの王でもプレッシャーはあったと思うよ。あの日、王は3番を打って私が4番だった。試合前に長嶋監督に呼ばれました。「王はああいう(まじめな)性格だからお前は何番を打っても大丈夫だろ。気分転換に王を3番にするからお前が4番を打て」って。私は何番でもよかった。とにかく早く達成してほしかった。 《令和4年、マリナーズなどで活躍したイチローさんは、モバイルゲームの公式YouTube動画で、レジェンドOBとして張本さんを選出。その理由を「人の記録であんな表現ができるのってめっちゃいい人なんだなと思う。あの写真を見て想像するんです」と絶賛…》
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