元五輪競泳代表・伊藤華英さん「中学受験で一度はスイミングをやめました」|VERY
サウナ、掃除、洗濯物干しが「無心になれる瞬間」
──伊藤さんは大学院でメンタルヘルスについて研究されています。イライラするときや落ち込んだとき、どんな対処法で乗り切っていますか? どうしてもイライラが募ったら、サウナに直行します! 空いている時間を見つけては、近くの銭湯に飛び込んで、10分間3セットを繰り返すだけで、かなりすっきりした気分になります。 ──子育て中は一人で過ごせる時間が取れるだけでもリフレッシュする気がします。 無心になれるという点では、掃除も好きです。子どもが遊んでいる横で、ひたすら床を拭いていることもあります。子育て中に運動をしよう! と思っても、子どもをほったらかしにしてしまうのが気がかりで集中できなくて。話し相手や遊び相手をしながら片手間で掃除していれば、後ろめたさもないうえに部屋がキレイになるので満足感があります。現役時代は、ミステリーなど好きな小説を読むことが気分転換になっていましたが、アスリートや働く人のメンタルタフネスについて発信を続ける今は、研究に関する本を読むことのほうが多いですね。 洗濯物を干すのも好きで、ビシッとキレイに干せた洗濯物を眺めて一人で満足しています。うちは共働きで子育ては夫婦で同程度にやっているつもりです。そのうえで、家事も育児も、できないことはあらかじめ「できない」と夫に宣言してシェアするようにしています。子どもともできるだけ人として一対一で向き合うようにしています。「親だから」「子どもだから」という関係ではなく、お互いをリスペクトするような関係を築いていけたらいいなと思っています。 <PROFILE> ■伊藤 華英(いとうはなえ)さん 1985年生まれ。埼玉県出身。ベビースイミングから水泳を始め、高校時代には、100m、200m背泳ぎで日本新記録を打ち立てるなど活躍。2008年、北京オリンピックに出場し、100m背泳ぎで8位入賞。その後、2012年にはロンドンオリンピックに出場し、同年現役引退。引退後は、順天堂大学大学院にて精神保健学を専攻。アスリートとしての経験を踏まえ講義・講演を行うほか、ピラティスコーチとしても活動中。著書に『これからの人生と生理を考える』(山川出版社)がある。一児の母。 撮影/秋山博紀 ヘア・メーク/本多遥香(ROI) 取材・文/樋口可奈子