過半が今月日銀会合で国債減額予想、年内利上げ9割に増加-サーベイ
国債の購入減額に関して、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「短期金利の引き上げを伴わない形で円安に歯止めをかけるには、うってつけの手段だ」とみる。減額観測が高まる中で修正しなければ一気に円安が進むリスクがあると指摘。今会合で減額スケジュールを提示し、「必要とあらば買いオペで金利上昇のスピードを緩和させる方針を打ち出すのではないか」と予想した。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、会合では減額の方向性を示す文言を加えるだけにとどめ、具体的な減額幅は会合後に公表する長期国債買い入れの四半期オペ計画のレンジ引き下げで示すとみている。バランスシートの正常化には長い年月を要するとし、減額は「最初は市場を試すように小幅に実施、徐々に削減幅を拡大していく方が得策」との見解を示した。
円安への対応
年内利上げ観測の増加の背景には、円安の進行が影響している。政府・日銀は4月26日-5月29日に月次ベースで過去最大となる9兆7885億円の円買い介入を実施した。円安対応を巡って、日銀に利上げ圧力は高まっていると思うかを尋ねたところ、73%が「はい」と回答した。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、4月会合後の植田和男総裁の記者会見が円安加速の起爆剤になったとし、「日銀がハト派的なメッセージを出す余地は狭まった」と指摘。日銀が基調的な物価上昇率を重視している中で、円安対応による早期利上げの可能性は低いとしつつ、「どれだけ早期利上げの現実味を打ち出してくるかに注目している」という。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは「金融政策の通貨政策化が徐々に、しかし確実に進んでいることに危うさを覚える」と憂慮する。多くの市場参加者が日銀の「次の一手」は円相場次第と考えるようになっているとし、「円売りで攻め込みたい投機筋にとっては動きやすい雰囲気が感じられる」と語った。