「新卒カードをふいにしてでも」一橋大学卒からママになったスナックに「若者が集まる訳」
シニア世代の社交の場だった「スナック」に若者が集い始めているそうです。新卒で東京・谷保の「スナック水中」のママになった坂根千里さんは、「SNSとは真逆の存在」とスナックの魅力を語ります。(全2回中の1回) 【画像】カフェにしか見えない?オープンなガラス張りのお店の外観(全14枚)
■若者はスナックに何を求めて通ってくるのか? ── 坂根さんは大学卒業後、2022年に新卒でスナックのママとなりました。2年間、お店に立つなかで感じることはありますか? 坂根さん:スナックというと「昭和のサラリーマンやシニア世代の社交場」というイメージがあるかもしれません。実際、私が経営する「スナック水中」にいらっしゃるお客様は、40代以降のミドル世代の方が多いです。
それでも20代のお客様も2割ほどいらっしゃいます。皆さん、スナックに興味を抱いて来店してくださっています。 ── 若い人たちはスナックのどんな部分に興味を持っていると思いますか? 坂根さん: 20~30代の中では昭和の音楽・文化に興味がある層が一定数いて、「昭和レトロ」がブームとも言えると思います。 スナックはなつかしい雰囲気を味わえる場として、人気があるようです。さらに「人と人が出会う場所」という部分が新鮮で魅力的に見えるのかもしれません。いまはSNSのおかげで自分の好きなこと、気になることはいくらでも深掘りでき、直接会ったことがない人ともコミュニケーションがとれます。
これに対して、スナックは「SNSとは真逆の存在」です。ふだん生活するなかではあまり接する機会のない人たちと出会え、初対面でも一緒のカラオケを楽しみ、お酒を飲みながらおしゃべりをする。こうした経験ができるところは、なかなかありません。 私自身、学生時代に初めてスナックを訪れたときは「こんな世界があるんだ!」とカルチャーショックを受けました。若い人たちにとっては、スナックでの人との出会いがとても新鮮なんだと思います。
■「スナックは初めて」の人でも居心地のよさを感じる訳 ──「知らない人」との出会いがスナックの魅力なのですね。とはいえ、スナックというと常連さんが集まるイメージがあります。初めて足を運ぶのは敷居が高いのではないでしょうか? 坂根さん:そこはスタッフが気をつけています。「スナックは初めて」というお客様がいらっしゃったら、スタッフがよく見える場所に座っていただいたり、お客様同士の会話のなかにスタッフも入り、場を和ませたりしています。