「私は配当利回りにこだわりすぎない」資産3億円兼業投資家が明かす「銘柄選び2大ルール」損切りラインの決め方
増配にこだわると伸びしろ部分のメリットが得られない
ーー投資対象としては相当幅広くなるのではないでしょうか。 いくらでも投資対象が出てくると思いますし、化ける銘柄も出てきます。逆に連続増配や一定の配当利回りにこだわると、銘柄が絞られ過ぎてしまうのではないでしょうか。私は複数銘柄に投資するスタイルであり、上記の視点で銘柄をピックアップして投資を行い、分散投資で良い方向に進んでいます。また足元の増配などの数字にこだわると、その後の伸びしろ部分のメリットが得られません。 以上の2つの視点で銘柄をピックアップして分散投資を行うことで、業績が伸びて増配がなされる銘柄をポートフォリオに取り込めます。 ーー投資候補を見つけたらタイミングが来るまで待ちますか?それともそのまま買いますか? 私の場合、事業や株価の観点からその時点で投資できる銘柄を見つけているため、投資候補が見つかったらそのまま投資します。テクニカルなどは特に見ていません。
売却する際はポートフォリオを入れ替えるイメージ
ーー利益確定はどのタイミングで行うのでしょうか? 投資基準と同様に、保有銘柄の売却も明確な基準はありません。とはいえ、投資時と比べて想定が異なっていたら売却します。事業成長が見込めると思ったのに事業が縮小している、いわゆる伸びが見込めなくなったら売却します。 また、予想PER20倍くらいで投資した銘柄が、その後株価が上昇して予想PER60~70倍になれば、明らかに買われ過ぎであり売却します。 ただし、特に投資の理由が崩れていないのに株価が下落している銘柄は買い増しします。事業や配当など根拠があって投資した銘柄について、投資の前提が変わらないのに株価が下がったから損切りするのはおかしな話ですよね。その意味では、株価が下落しても持ち続けられ、また買い増しできる銘柄に投資しています。 ーー損切りについてはどのように行っていますか? 保有銘柄の売却は利益確定の際にお話した理由で行っており、売却が結果的に利益確定となったか、損切りとなったかの違いですね。10~20年維持できる手堅いビジネスを展開していると思ったものの、実際に投資してみるとそうではなかったというケースは出てきます。 その場合は、読み間違えたと判断して売却を行い、新しい銘柄に投資します。成長性が落ちた銘柄を売却して、伸びしろがある銘柄に投資することもあります。利益確定や損切りによる勝ち負けというよりも、ポートフォリオを「入れ替える」イメージです。
兼業投資家はリスクが少ない分散投資を推奨
ーーお話を聞いていると、個人投資家でも比較的実践しやすい投資方法に感じます。 そうですね、結局個人で調べられることには限界がありますし、さらに兼業ではできることに限界があります。有名投資家の中には、1日15時間も株の事を考えている方もいるそうですが、普通の人には真似できません。 しかし、配当はだれでも確認可能です。また、分散投資なら1銘柄が失敗しても他の多くの銘柄でカバーできます。凄腕の投資家に憧れる気持ちは分かりますが、すべての個人投資家が彼らと同様に振る舞うのはリスクが高く、得るものも少ないのではないでしょうか。
立川 一