ポルシェ911の何がスゴイのか? 50年間変わらぬ「形」と「RR」
フェラーリのような洒脱さよりも…
例えばフェラーリ308GTBの様な低くて薄いノーズデザインでは、物理的に空間が足りず、ホイールトラベルは確保できないから、短いストロークの中で辻褄を合わせなくてはならない。ばねとダンパーに全ての無理が集中するわけだ。エンジニアリングは制約が多いほど難しくなる。911はノーズが薄くてカッコイイことより、タイヤがしっかり接地することを選んだ。 この精神は911のあらゆる部分に生きているのだ。そういうわき目も振らぬ、走ることへの執念がポルシェ911というクルマの真骨頂である。だから一方で不器用で垢抜けない印象もある。企業としてのポルシェには、それをなんとかして変えていきたい思惑があるようだが、50年経っても洒脱で伊達な印象は皆無に近い。無骨だが信頼に応えるスポーツカーとして多くの武闘派ドライバーに信用されていることに比べれば取るに足りないことのように感じるが、ブランド品としてはそれでは困るのかもしれない。 (池田直渡/モータージャーナル)