トラウマ級の悲劇…史上最も胸糞が悪い学園モノ日本映画(1)大女優が生々しく恐ろしい…心をえぐる衝撃の傑作
エンターテインメント作品の設定として定番の学園モノ。同年代の人間が過ごす学校という場所には、それだけ多くの出来事が起こりやすいということだ。これまでも友情や恋愛に限らず、SF、アクション、ホラーなど、多くのジャンルの作品が生み出されてきた。そこで今回は、学園で悲劇が起こる映画を紹介する。第1回。(文・ニャンコ)
『告白』(2010)
原作:湊かなえ 監督:中島哲也 脚本:中島哲也 出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃、橋本愛、藤原薫、西井幸人 【作品情報】 作家・湊かなえによるベストセラー小説を、2010年に映画化した作品。監督に中島哲也、主演に松たか子、岡田将生、木村佳乃など、日本を代表する俳優陣が脇を固め、第34回日本アカデミー賞では4冠を達成した。 R15+指定を受けている作品にも関わらず、2010年度の国内興行収入において日本映画の第7位を獲得し、大成功をおさめた。 物語は、愛娘を殺された女性教師(松たか子)、教室の中にいる第三者の女生徒(橋本愛)、担任の娘を殺し、クラスからいじめの標的になって鬱になった少年B(藤原薫)、少年Bの母親(木村佳乃)、もう1人の加害者少年A(西井幸人)の5名それぞれの目線から描かれる。 【注目ポイント】 本作の舞台はとある中学校。生徒2人によって自分の愛娘を殺された女性教師の復讐を描く。 学校という閉鎖的な空間が効いている。また、中学生をメインの登場人物に据えている点も、集団心理や善悪の境目が曖昧な青春期特有の気分を際立たせて、良い。 未成年の心理、歪な親子関係、少年法の矛盾など多くの要素が絡み合い、観客に深い印象を与える。 森口(松たか子)のパートは、回想シーン以外は全て教室内で完結する。本作はストーリーを語るスタイルも閉鎖的なのだ。 森口の復讐は、現代社会においては犯罪であるが、視点を変えると「我が子の命を奪われた母親の復讐」であり、倫理的には許されなくとも、心理的には理解出来てしまうから恐ろしい。 未成年特有の倫理観不足、集団心理の恐ろしさをスタイリッシュな映像で表現しており、公開から10年以上経った現在から観ても、新鮮さを失っていない。
ニャンコ