隠蔽が起きた経緯について説明する関西電力送配電の白銀隆之社長＝大阪市北区

関西電力子会社の関西電力送配電は1日、電柱に設置されている変圧器の一部で、人体に有害なポリ塩化ビフェニール（PCB）の濃度が基準値を上回っていることを20年以上前から把握していた事実を隠蔽していたと発表した。隠蔽は分社化前の関電の送配電部門時代から行われており、関西送配電はコンプライアンス（法令順守）上の問題があるとして、隠蔽を指示した高市和明副社長に辞任を勧告。高市氏は同日付で辞任した。 コンプライアンス相談窓口への内部通報によって発覚した。 変圧器では平成元年ごろにPCB混入が確認され、電力各社が除染や交換などの対応を行っている。関電はPCBの対応を管轄する配電部門が10年と14年の調査で除染後もPCBが基準値を上回る例があることを把握したが、社内で共有されず長年にわたり適切な対応が取られてこなかった。 30年の台風21号による漏油事故を契機に基準値の超過を関電として把握したものの、配電部門のトップだった高市氏が以前から超過を把握していた事実を隠蔽するよう指示し、国や大阪府にも虚偽の説明を行った。 大阪市内で会見した関西送配電の白銀隆之社長は「基準値超過を把握していたことを『隠した方がいい』と発言し、適切な対応を取らなかったことは重大なコンプライアンス違反」と謝罪。変圧器は新品への交換が進められており、令和8年度までに完了する見込み。