ススキノ事件、トラウマ、逆境的小児体験 香山リカ
ふたつの話が混在してしまった。ススキノ事件の女性の家庭や本人の心理の話と、逆境的小児体験を持つ子どもはその後、どうやって人生を歩んでいけばいいのかという話だ。前者については、さらなる公判を待たなければこれ以上の情報が得られることはなさそうだ。後者については、バンス氏の今後の言動などにも注目しながら、もう少し考えていきたい。それにしても、これらの人たちのことを考えれば考えるほど、「平凡な人生を歩む」というのはなんとむずかしくまたすばらしいことなのか、という思いが強まる。いや、だからこそ「サザエさん」とか「ちびまる子ちゃん」といった平凡を絵に描いたような作品が、永遠に輝き続けているのかもしれない。「平凡」を手に入れるのは、それほどむずかしいのだ。