「知らんぷりはできない」能登で“恩返し”の炊き出し 正月の地震直後から避難所で支援 長野の飲食店営む夫婦が豪雨災害後に現地へ
能登での炊き出しは9月までに25回。復興にはほど遠いことから今後も続けようとしていたところ、能登を襲った記録的な大雨。 濁流が押し寄せる様子は台風19号災害と重なったと言います。 星野良和さん(10月1日): 「長沼と一緒だなって。また同じことが能登半島で起きてるのかなと思ったらぞっとしました」
星野良和さん: 「みそもせっかくだから、信州みそを持ってきて使っている」 10月1日は、豪雨災害後、初めての炊き出し。持ってきた野菜や水は長沼の住民から譲り受けたものです。すぐに食べられる焼きそばの他におかずになる煮物なども用意。 妻・百代さん: 「何もなくても食べ物さえあれば、何か未来を感じてもらったり、今を大事にしてもらえるんじゃないかと思って、メニューも健康になってもらえるような」
長女の陽さん(8)も盛り付けを手伝いました。 長女・陽さん: 「(被災地支援に来るのは何回目?)4回目。(被災者に喜んでもらえると)うれしい気持ちになる」
■被災者「まさか2回も…」
午前11時過ぎ、住民が集まってきました。 被災者: 「お腹減ってきた」 妻・百代さん: 「ね、作っているほうもね」 被災者: 「一緒やね」 星野良和さん: 「お待たせしました、順番にお願いします」
星野良和さん: 「家族の分だけ取っていいよ」 炊き出し支援で連携しているNPOからは500食分を依頼されましたが、「もらえない人がいないように」と750食を用意しました。 被災者(自宅が全壊): 「おいしそうです、帰ってすぐいただきます」 被災者(自宅が全壊): 「まさか2回もそんな目にあうなんて、今まで災害なんてなかった。人ごとだと思っていました。(長野からの支援)うれしいよ、まさかそんな遠いところから来てくれると思わない」
■「先が見えない」
炊き出しを受け取った女性。自宅の様子を取材させてもらえることになりました。 炊き出しを受け取った女性: 「こういう状態の仕事場、天井から屋根みんな(地震で被害に)」 女性は3代続く輪島塗りの箸を作る職人です。正月の地震で住居部分は全壊。隣接する仕事場は全壊を免れましたが、大きく損傷しました。 女性: 「漆も全部ひっくり返って、お箸も全部ひっくり返って、やっとこれだけおさめたんです」 地震の後は近くに住む娘の家で暮らしていましたが、その家も今回の大雨で1階が浸水し今は2階で暮らしているそうです。日中は仕事場に戻って箸を作っています。 女性: 「おいしいです。ゆっくりと今は、みそ汁すすっているような状態でないから時々こうして頂ければ、感謝しています」 2つの災害で折れた心を持ち直すのは容易ではありませんが、輪島の伝統工芸を何とか守っていきたいと考えています。 女性: 「地元産業を継続して頑張っていこうかと思うんですけど、先がまだ見えません。元の生活に戻りたいですね、普通にね。でもしょうがない。仕事だけでも注文あるので、それを励みに前を向いて進みたい」