「大胆」ではなく「稚拙」那須2遺体事件 2時間ドラマでは〝駄作〟の部類、素人4人に任せていいレベルの犯罪ではない 大鶴義丹
【大鶴義丹 やっぱりOUTだぜ!!】 東京・上野の繁華街で焼き肉店など経営していた実業家、宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)夫妻の遺体が栃木・那須の山中で発見されてから3週間が過ぎた。 2時間ドラマで犯人役を、20作品くらい担当してきたうさん臭い経験からの見立てでは、当初、この事件はかなり高度に仕組まれたものだと思われた。 かの「ルフィ事件」でも話題になった「トクリュウ」(匿名・流動型犯罪グループ)と呼ばれる離合集散を繰り返す、反社会的集団の手法とも憶測された。 隠すことなく遺体を大胆にガソリンで焼くなど、外国人犯罪グループの「見せしめ」という見方もあった。 だが、どうやら流れが変わってきた。それは「大胆」ではなく、ただの「稚拙さ」であったのかもしれない。 容疑者であることは大前提ではあるが、5月10日時点での、この事件における逮捕者は合計6人にのぼる。 日本の警察は本気になるとすごい、あっという間の「捕物帳」だった。あえて言えば使い走り的なおバカな若者が3人、仲介したドチンピラが1人、この事件の首謀者とみられる小悪党風な、娘の内縁の夫。さらにこの凄惨(せいさん)な事件には不似合いなまでに地味な、不動産業者。 首謀者と目されている男は、宝島夫婦から使いパシリのような扱いをされていて、人前でも罵倒されていたとも。殺したいくらい憎んでいたという証言も出ている。 もちろん夫婦が死んでしまえば、「宝島利権」は、娘を通じて彼のものになるという皮算用もあったかもしれない。 だが、しかしである。この事件の一連の逮捕者の流れを見ても分かるように、2時間ドラマの脚本としてもかなり「駄作」の部類に入る物語構成だ。 首謀者が使った費用は1000万円以上と報道されているが、暗殺者ゴルゴ13に依頼するならまだしも、素人4人に任せていいレベルの犯罪ではない。 死体を遺棄した那須までは、車を使ったようだが、コンビニの高性能防犯カメラは数限りない。また、彼らは高速道路が「Nシステム」という自動車ナンバー自動読取装置であふれているということを知らないようだ。 夜中の那須インターチェンジを出入りする車などはすぐに割り出される。自首も含めてすぐに捕まった彼らは、例えば、ドラマであれば取り調べで刑事から「死刑」をチラつかされたら、ブルブルと何でも話してしまうだろう。あっという間に芋づる式だ。