山口紗弥加さん(44)「デビューから30年…20代は暗黒期でした」|CLASSY.
現在放送中のテレ東ドラマ「私の死体を探してください。」に出演している山口紗弥加さん。14歳でデビューし、30年以上のキャリアを持つ山口さんは、まさに働く女性の大先輩。ドラマで演じるベストセラー作家の森林麻美の魅力や作品の見どころに加えて、CLASSY.世代の頃の苦労話、転機になった出来事までお話を伺いました。 【写真あり】色っぽい佇まいの山口紗弥加さん(44)の現在
原作は数時間で一気読み。読後は言葉というものが恐ろしくなった
――現在、ドラマ「私の死体を探してください。」に出演されています。原作や台本を読まれた感想を教えてください。 原作は好奇心に煽られて、数時間で一気読みしました。ある事実に対し、それぞれの登場人物によって角度の違う解釈がなされて、いくつもの“主観に基づいた事実”に翻弄されていく中で、善悪の区別、生死、被害者と加害者の境界がどんどん曖昧になっていく怖さがあって…人間という生き物が恐ろしくなりました。私が今まで理解したつもりでいた何もかもが、視点一つで覆され白が黒になってしまうような、倫理が崩壊するような感覚で。軽く混乱するほどの衝撃でした。 読後は、得体の知れない罪悪感に襲われて、過去の発言を少しずつ遡って紐解いている自分がいて。「あのとき、あの人に言った一言がもしかしたら…」みたいな。言葉というものが急に怖くなりましたし、些細な一言を思わず後悔させるような強い力を、この作品から感じました。 ――ミステリー作家・森林麻美を演じる上で意識したことはありますか? 麻美は自分の感情がよく分からないだけで、無感情な人ではないので、そこに難しさは感じました。彼女自身の中に沸き起こる“何か”に付ける名前が見つからないから、その正体を掴もうと、他人が書いた小説を読み漁り、周囲の人間を観察・分析して答え合わせするように、自分の中に存在しうる感情を必死小説に落とし込む…その作業を永遠に繰り返しながら、感情というものを懸命に学習していたのかな、と想像します。 演じる上では、感情が表出しないようにできるだけ表現を削ぎ落とし、無感情ではないという点では声のトーンや温度、間合いなどにも気を配りました。麻美はずっと心に重たいものを背負ってきた人なので、その重さを忘れずに、彼女の目的を見失わないことも常に意識していました。 ――撮影や共演者の方とのやり取りで印象に残っているエピソードを教えてください。 とにかく、伊藤(淳史)さん演じる麻美の夫・正隆がクズ男で。なのに、演じる本人は人間力が高いから、その狭間で葛藤しているようにも見える正隆が、たまに愛らしく思える瞬間があったりして…耐えられなくてつい笑ってしまうんです(笑)。伊藤さんご自身も「子どもが見たときにどう思うんだろう?」ってお話しされていて。伊藤さんだからこその人間味溢れる繊細なクズっぷりは、1番の見どころでもあります。 それから今回、大好きなかたせ梨乃さんとご一緒できて、本当に夢のようでした。根掘り葉掘り、それはもう色々とお聞きしてしまって。「今朝は、何をお召し上がりになりましたか?」とか「スーパーでお買い物されますか?」とか。ご迷惑かと思いつつも、いちファンとしてプライベートに“触れたい”と思う欲望に勝てず、気づけば質問攻めに…。撮影現場ではファン心を出してはいけないと気をつけていたのですが、一旦現場を離れると「好き」を止めることはできなかった(笑)。10年ぶりにご一緒する伊藤さんをはじめ、嬉しい再会も多くあり、すべてが私にとっては喜びで、「楽しい」の一言に尽きる現場でした。