2024年で生誕65周年!鉄道おもちゃの王道「プラレール」が世代問わず愛され続ける理由とは?
鉄道好きなら一度は遊んだことがあるであろうおもちゃ、プラレール。株式会社タカラトミー(以下、タカラトミー)が販売するこの商品は、2024年で65周年を迎える。東海道新幹線が2024年で開業60周年なので、実は新幹線よりも歴史が長い。 【写真】プラレールの原型「プラスチック汽車・レールセット」 プラレールといえば子どもが遊ぶおもちゃというイメージがあるが、近年では大人の鉄道好きをはじめとした幅広い層を対象にシリーズを展開し、鉄道好きの大人のためのプラレールなども発売している。 今回はタカラトミー ブランドビジネス本部 ベーシックトイ事業室 プラレール事業部 ブランドマーケティング課 課長の田畑孝さんに、プラレールが誕生した経緯や人気の車両、そして大人向けの車両の発売などについて話を聞いた。 ■最初はオリジナル車両だった?プラレール誕生秘話 プラレールの原型が発売されたのは、今から65年前の1959年。創業者「富山栄市郎」が、玩具用モーターが普及しはじめた昭和三十年頃「このレールの上を、モーターを積んで走り回る、いろいろな車輌を作れ。」と号令した一言が始まりだった。 「当時はプラスチックが新しい素材として注目されていた時期だったこともあり、作られたのはオールプラスチックで、モーターではなく手で転がして遊ぶ『プラスチック汽車・レールセット』でした。当時の車両にモデルはなく、オリジナルのものでした」 その後、1961年に「電池一本で走る3両編成」という現在まで続く基本スペックが誕生した。このころにおもちゃが『暮しの手帖』で紹介されて世間に広まり、人気になっていったそうだ。そして、1965年ごろには実在の車両をモデルとしたラインナップの拡大に伴い『プラレール』に名称が変更された。 「プラレールの特徴はレールの規格が65年たった今でも変わっておらず、発売当時のレールでも現在販売されている車両やレールと一緒に遊ぶことができる点です。また、特徴的な青いレールは当時のおもちゃ屋さんや玩具売り場で映えるよう、蛍光灯で照らし合わせてさまざまな色を検討したそうです。その中で最も目立つ色を検証した結果、現在の青いものになったそうです」 ■人気車両は子どもたちのあこがれ「新幹線」 2024年現在、これまで発売されたプラレールは2000種類近くにものぼる。そのなかでも発売当初から子どもたちに人気なのが、新幹線系の車両だ。東海道新幹線の「のぞみ」や東北新幹線の「はやぶさ」などは特に支持を集めているという。 「黄色い新幹線のドクターイエローも人気です。東海道新幹線をよく使う人でもなかなか見られないレアな車両なのでファンがすごく多いです。2024年6月にドクターイエローの引退が発表されましたが、その際に『プラレールのドクターイエローもなくなるのですか?』と問い合わせが相次ぎました」 その他にも、日本各地の地域を走る鉄道のプラレールも人気なのだとか。タカラトミーは全国津々浦々の車両を発売しているため、子どもたちが普段目にする地元の鉄道を見つけられるのも、鉄道好きキッズたちの心を鷲づかみにする理由だ。 生誕65周年を記念して行われた「プラレールからの挑戦状」という企画では、レールを使ったさまざまな挑戦状が出され、多くの作品が寄せられた。また、畳一畳分のスペースでレイアウトを作る「一畳プラレールコンテスト」を開催。大人でも驚くような創造性豊かな作品たちがたくさん応募された。 「鉄道自体が身近なものであるため、鉄道を通じて社会を学んだり創造性を育んだりできるというのが、プラレールがお子様だけでなく親御さんにも支持され続ける要因だと思います。今後もぜひお子様の創造性を豊かにするような商品展開や企画を実施したいですね」 ■幅広い年代に訴求!大人向けプラレールも登場 プラレールのメインターゲットは3歳から5歳の子どもだが、大人になってからもプラレールを楽しむユーザーも多いのだとか。特にX(旧Twitter)ではプラレールで東京駅や新宿駅といった複雑な構造の主要駅をジオラマ再現する猛者もおり、「大人が本気で」楽しめるおもちゃとしても人気を博している。 そんな鉄道大好きな大人のために発売されているのが「PLARAIL REAL CLASS(プラレール リアルクラス)」。これは細部までこだわった造形・塗装が特徴の“リアル路線“のプラレールだ。現在は引退している「ブルートレインあさかぜ」や「185系特急電車(新幹線リレー号)」、「トワイライトエクスプレス」などの懐かしい車両も。大人だからこそわかる懐かしさをくすぐる車両がそろっている。(※商品ラインナップは予告なく販売終了する場合がございます) 「運行当時に実際に乗車された方にも納得していただけるよう、思い切りディテールにこだわっています。また、一般的なプラレールに比べて車両が4両だったり、レールが落ち着きのあるグレーになっていたりと、大人をターゲットにしたPLARAIL REAL CLASSならではのこだわりを追求しています。ぜひ飾ったり走らせたりして楽しんでいただきたいですね!」 生誕65周年を迎え、子どもから大人まで幅広い層に愛されているプラレール。これからも子どもの知育に役立っていくだけでなく、次世代の鉄道好きを育て、全国の鉄道ファンを心から楽しませてくれるだろう。 最後に、田畑さんにプラレールの今後の展望について聞いた。 「65年続いてきたシリーズを今後も続けていくだけでなく、新しい車両や技術の登場とともに新商品の展開にも力を入れていきたいですね。日本は鉄道文化が非常に強い国なので、鉄道の進化とともにプラレールも進化を続けていきたいと思います。これからもぜひ応援よろしくお願いします!」 1959年の誕生当初から子どもたちの憧れを形にしてきたプラレールは、現在も鉄道ファンたちの夢と希望を載せて走り続けている。リニア中央新幹線をはじめとした鉄道の進化が目まぐるしいなか、プラレールもどのように進化していくのかが楽しみだ。 取材・文=越前与