熊本県に再生可能エネルギー由来の電力供給会社…地場企業の脱炭素化支え、TSMC供給網参入を後押し
西部ガスや西日本鉄道グループ、熊本県などは24日、再生可能エネルギー由来の電力を供給する地域エネルギー会社を、2025年1月に設立すると発表した。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出で半導体産業の集積が進む中、官民で地場企業の脱炭素化を支え、TSMCのサプライチェーン(供給網)への参入を後押しする狙いがある。 【表】TSMCの熊本進出効果は広く波及している…交通や不動産・金融などにも
新会社には、再生エネ事業を手がける西鉄自然電力(福岡市)や、西部ガス熊本(熊本市)、肥後銀行、熊本銀行、熊本県、同県益城町が出資する。新会社は県有地などに太陽光発電やバイオマス発電所を設けるほか、電力市場から再生エネ由来の電力を調達し、25年4月から熊本空港(益城町)周辺の企業や大学に再生エネを供給する計画だ。
新会社は30年頃までに約2万キロ・ワットの自社電源を確保する目標を掲げており、供給エリアも順次広げる。企業名は今後決める。
官民が再生エネの供給で手を携えるのは、半導体産業で供給網全体の脱炭素化が求められていることが背景にある。TSMCも熊本工場の電力を再生エネ由来とする方針を示しており、「半導体メーカーと取引する企業には再生エネ(の利用)が不可欠」(熊本県)と判断した。
木村敬知事は24日に県庁で開いた連携協定の締結式で、「(脱炭素化に向けた)大きな一歩だ。九州のモデルにしていきたい」と話し、西部ガスの加藤卓二社長も「電力小売り事業者としての知見を生かし、地域に貢献したい」と述べた。