弓削智久【3】若い時にしか出せない未完成な味がある「筋肉バキバキになるのは…」
■謎めいた男役なのに、ひとりだけサンタの衣裳で… 12月14日(土)に公開される映画「きみといた世界」に出演。この映画は、日常では交わることのなかったコミュ障でぼっちの高校生・卓(高橋改)とクラスの人気者・碧衣(中川可菜)が、他に誰もいない謎の世界に迷いこんだことで繰り広げられる青春SFラブストーリー。弓削さんは、謎の世界(異世界)の管理人役を演じている。 ――ちょっと不思議な謎めいた役どころでしたね 「そうですね。これは2年くらい前に撮った作品なんです。まだコロナの時期だったので、マスクをつけたり外したり…という感じで撮っていました」 ――お話が来た時はどう思われました? 「すごいセリフの量だなって思いました。説明セリフが多くて難しかったですね」 ――謎めいた雰囲気がすごく合っていますね。最初は冷酷な人なのかなと思っていたのですが、だんだん変わってきて。そのギャップがいいですね 「良かったです。とっつきにくい感じのイメージがあっても、この管理人にも人の心が少し存在する瞬間があってもいいのかなっていうのは結構大事にして、ほぐれる時はほぐれちゃおうって。ひとりだけサンタクロースの衣裳まで着ていますからね(笑) でも、この映画のいいのは、主演の2人が本当にピュアな感情を現場に持ってきていたんですよね。僕はあくまでストーリーテラーみたいなものなので」 ――お二人がとてもナチュラルでしたね 「そうですよね。高橋くんは本当に色白でめちゃくちゃ細かった。この子たちのまだ10代、20代前半の未完成な雰囲気がいいなって思いました。昔を思い出したりして(笑)。だからよくやっているなあって。 高橋くんが『僕も筋トレやりたいです』とか言ってきたんですが、『もったいないかもしれないよ』っていうことはよく言います、若い子には。あまり若い時から(からだを)バキバキにしちゃうとイメージが固定されちゃって、そっち系の役しかできなくなったりとかするじゃないですか。 だから、(若い)その時期を大切にしなよっていう感じです。やっぱりその時期にしか出せない雰囲気と味というのがあるので、その時期にあまりバッキバキにしたらもったいないと思います」 ――この作品の撮影を通して感じたことは? 「人が真剣な様って、やっぱり心を打つなあって思いました。卓は単純に彼女のことがずっと好きで、彼女のほうは興味がなかったけど…。どうすることもできない感情というのは、二人ともよく出ていた気がします。何か久々にこういう映画を見たなっていう感覚でした。ピュアな映画だなって思いました」 ――若さゆえのイタさもよく出ていますね 「そうそう、こういうイタさってあったよな、若い時ってって思いますよね。叶わないかなと思いながらもちょっと行動を起こして、それが思いっきり滑ったりとかいうのが可愛いなって(笑) こういう映画は少なくなってきたと思うので、是非劇場でご覧になってほしいです。あと、主題歌がすごくステキでした。エンドロールの時にいい曲だなって思いました。この世界を包み込むような感じで」 ――撮影で印象に残っていることは? 「待ち時間が長くて、めちゃめちゃ寒かったんですよ。御殿場にある廃校を借りて撮っていたんですけど、本当に寒くてつらかった。からだが冷えきっちゃって…それで少し荒んだ感じが出たかもしれないですね(笑)。 でも、僕はシーン的には場所の移動があまりなかったので、4日ぐらいかな。あと異世界のCG部分の撮影だけはまた別日に撮ったんですけど、それが結構大変でしたね。 グリーンバックの中で想像しながらやるというのが特撮でも多いんです。『ここにこれぐらいの物体(コア)があって、こんな感じで回っています』みたいな説明を受けて。特撮は結構多いんですけど、やりすぎないようにとは思っていましたね」 ――完成した作品をご覧になっていかがでした? 「あんなに真っ白な世界なんだって結構驚きました。思っていたよりずっと真っ白でした。そういうのは、すごく楽しみでもありますね」 ――今後はどのように考えていらっしゃいますか 「配信の作品とかに多く出ていきたいなというのはありますね。『彼岸島』(キム・テギュン監督)という韓国人の監督の映画に出演したことがあるんですけど、機会があれば海外の作品もやりたいです。チェンジしていく時期だと思っていて、同じようなことをやり続けても何も変わらないかなと思うので、いろいろなことに挑戦していきたいなと思っています」 筋肉のために食事なども気をつけているというだけあって、体脂肪の低さは洋服を着ていてもわかるほど。186cmの長身でプロポーションの良さがスクリーンに映える。キレのいいアクションシーンもまた見せてほしい。(津島令子)
テレビ朝日