「ママ行ってくれば?」娘に言われ決断した初めての一人旅 59歳にして「冒険」の醍醐味を知る 武内陶子
■神戸女学院大学近くを通り懐かしさも 豪雨が去った時にはカフェの予約時間はすっかり過ぎていて長蛇の列。まあいいか、あたしたち大人だもの。と、ここまで満喫したUSJと直子ちゃんに別れを告げて、京都に向かうトーコ。 大阪駅から快速電車に乗ったつもりがどうも鈍行に乗ってしまったらしく、行けども行けどもなかなか京都に着かない。と、ふと外を見るとサントリーの山崎工場があるあたりに差し掛かればなんとも言えない山の中の夕暮れ景色。歴史ある長岡京や桂あたりを通る時には、古の人々の暮らしが見えるような気分になっている。一人旅で話す人が隣にいないぶん、心の中で一つ一つの景色や音を味わい尽くしている自分に気づくのだった。そうか、こういうのが一人の旅の楽しみなのかもしれない。 その夜は私のラジオの大ファンだという小料理屋「きのした」の大将のおいしい京のおばんざいをいただきながら、小学校の時の幼なじみのショーコちゃんと盛り上がった。聞けばショーコちゃんの娘さんは航空会社に勤めていて、飛行機の座席に余裕があればその家族も自由に飛行機に乗れるのだそうだ。どおりでフットワークが軽いはずだわー。おかげで思いがけない思い出ができた。 翌朝、ショーコちゃんとおしゃれなホテルモーニングを楽しんで、四条河原町まで歩いて、阪急電車で大阪・十三まで。そこでショーコちゃんとはバイバイして、私はそのまま宝塚へ。 その途中には学生時代を過ごした神戸女学院大学の近くを電車で通り、ああ、あそこが私の下宿だったあたりだ~とこみあげるものがあり、一人エモい時間を過ごした。 そんな私を最後に宝塚で待ってくれていたのは、大学時代の大親友たちだ。イングリッシュドラマクラブで英語ミュージカルをやっていた仲間。付かず離れず仲良しだったけれど、みんな子育てが一段落して、また絆をとりもどしつつある。ランチして思い出話に花を咲かせた後、ついでに宝塚大劇場でお芝居まで見て、終演と同時に飛び出し。最終便目指して伊丹空港へ向かった。