「百恵の、赤い靴。」 なんのクルマのコピーかわかります? クルマCMの迷コピー謎コピー傑作選│1970年代~1980年代編【10年前の再録記事プレイバック】
■「烈火の炎」日産・3代目シルビアRS(1982年)
1979年デビューの3代目シルビアが1982年にマイチェンした時のCMには、星野一義氏が出演。 シルビアのエクステリアは直線多めで無骨な男っぽい雰囲気、内装はムーディーでアメリカン。走れるし、デートにも使えるよ!という感じのクルマだった。で、コピーは「烈火の炎」。今となってはやたら暑苦しいコピーだが、人気も燃え上がった。
■「ベイビー!逃げるんだ。」三菱・ミラージュ(1983年)
当時、おカタいイメージのあった三菱は何とか若者受けするメーカーになろうと勢い余ってコマーシャルに厚化粧時代の忌野清志郎を起用。 あのテンションのままで「ベイビー!逃げるんだ。」といわせてまじめな大人たちから「逃げるとは何事!」とヒンシュクを買った。 初代ミラージュはエリマキトカゲのコマーシャルで大ヒットしたものの、二代目"逃げるんだ"ミラージュは初代ほど売れず「客が逃げてった」といわれたとかいわれないとか……。
■「オトナ・アヴァンギャルド」スバル・アルシオーネ(1985年)
2ドアのスポーツクーペ。当時としては異例のABSを備えているうえに、国産車初の空気抵抗係数CD値=0.29を達成。コピーに「オトナ・アヴァンギャルド」を採用するくらいなので、大儲けしてやるぞ、というつもりはなかったのだろう。まさにアヴァンギャルド。
■あった、あった!おもしろコピー大集合
●「3週間のクリスマス休暇を取る国」トヨタ・セプター アメリカ・ケンタッキー州の工場で生産されていたクルマ。ベースは10系ウィンダムと同じ中型の乗用車。 日本人の欧米コンプレックスをくすぐるこの宣伝文だが、当時の国民の大多数が「おれはキリスト教じゃないんだから、クリスマス休暇なんて関係ねぇ!」と、意地を張ってしまったのかどうかは知らないが、売り上げはパッとしなかった。 しかし、アメリカ人よ、3週間のクリスマス休暇って本当なの?休みすぎじゃない? ●「840(ハシレ)フォワード」いすゞ・初代フォワード 開発番号の840を語呂合わせでハシレと読ませて、車名をそのまんまコピーにしたお手軽宣伝文。飾り気のない率直さが好印象。コマーシャルでは「生き残るトラックはこいつだ!」ともいっていたが、確かに、今でも世界各地で大活躍している。フォワードのナンバープレートを840にしている愛好家とかけっこういるんだろうなぁ。86のプレートを86にしている人のように。 ●「高級車異説」ホンダ・アコードインスパイア レジェンドとアコードの間に位置する高級セダンで、「ハイグレードだけど、マークIIとかローレルじゃなくて、走りがよくてちょっと個性的なクルマがほしいのよ」といったこだわりの人に向けた1台だった。が、コピーの雰囲気同様「わかる人にだけわかればいい」というマイウェイぶりながら、マークIIやローレルなみにヒットした。 ●「ミニカの変なヤツ」三菱・初代トッポキャンバストップ コマーシャルでは、ミニカトッポのキャンバストップがウィーンと開いて、ジャイアント馬場がにょきっと顔を出し、浅野温子がニッコリ。この人選に時代を感じる……。 「変なヤツ」を自称しているだけに、面と向かって「変なクルマ!」といっても悪口にならない。本当に個性的なデザインで、格好いいとか高性能とは、ほど遠いのにヒットしたのだから、世の中何が当たるかわかりませんなぁ。 ちなみに、トッポとはイタリア語でねずみという意味らしい。(例・トッポジージョ) (写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)