トランプ大統領にもリスク? 2回目の米朝会談のポイントは
「世紀の会談」とうたわれた第1回米朝首脳会談から9か月。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が再び相まみえます。今度の舞台はベトナム・ハノイ。2月27日から2日間の日程で会談します。最大の焦点はもちろん北朝鮮の「非核化」ですが、それ以外のテーマも含めて今回の会談のポイントは何か。元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹氏に寄稿してもらいました。 【表】第1回米朝首脳会談「共同宣言」の主な内容
「非核化」の具体的道筋が示されなかった1回目
第2回目の米朝首脳会談が2月27、28日にベトナムの首都ハノイで開催されます。 昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談で合意された実務者協議は、半年以上進展しませんでした。その間、北朝鮮は相変わらずウランの濃縮を続けているとか、北朝鮮の非核化への意思を疑わせる出来事が伝えられました。また、米国のコーツ国家情報長官は、北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低いとの見方を示しました。 そんな中で開かれる会談ですが、最大の注目点はやはり北朝鮮の「非核化」です。 シンガポールでの首脳会談では、「非核化」の具体的態様が示されなかったとも言われましたが、「非核化」は高度に技術的、専門的な問題を含んでおり、トランプ大統領と金委員長が初めて会っただけではその具体的な内容について決定できなかったのはやむを得なかったと思います。
しかし、今回は同じことを繰り返すわけにはいきません。具体的な結果が問われます。首脳会談の開催はトランプ大統領にとって大きなリスクがあったと思います。 トランプ氏は北朝鮮との外交ですでに成果を上げたといえます。北朝鮮が核とミサイルの実験を止めたこと、北朝鮮に捕らえられていた米国人を帰国させたこと、朝鮮戦争以来、北朝鮮に残されていた米国人兵士の遺骨の返還を実現したことなどを何度も誇らしげに語っています。トランプ大統領が金委員長と再会しても「非核化」が進まなければ、これまでの実績が色あせ、傷つくかもしれません。 にもかかわらず、金委員長と会談することとしたトランプ大統領にはかなりの見通しと自信があるように見受けられます。