トランプ大統領にもリスク? 2回目の米朝会談のポイントは
非核化めぐり「金委員長」がうんざりしている?
トランプ氏の考えは他人には分かりにくいとよく言われます。独特の交渉スタイルがあるからです。以前から、トランプ氏は「前に壁があるのに突っ込んでいくようなところがある」とも言われてきました。 しかし、目標に向かって猛進するだけでなく、トランプ大統領は金委員長との間で、他には見られない特別の関係を築いているようです。一種の信頼関係ができていると言っても過言でないでしょう。
金委員長はトランプ大統領に対し、「非核化」についての考えが変わっていないことを私的な書簡の形で何回も伝えています。書簡の具体的な内容は一部しか公表されておらず、あとは推測するほかありませんが、トランプ大統領が金委員長の姿勢を常に積極的に評価してきたことは公然たる事実です。さる新年に際しても金委員長は書簡を送り、トランプ大統領は「素晴らしい手紙だった」と評価しました。トランプ節ではありますが、喜ばしい内容であったことは間違いないでしょう。 また、トランプ大統領は、金委員長が喜びそうな内容のメッセージを発しています。2月3日の米CBSのインタビューで、「私は、金委員長が好きだ。同氏とはウマがあう。同氏と大変な通信(tremendous correspondence)を行っており、それを見た人たちが信じられないほどの内容である」と熱く語っているのです。 このインタビューでトランプ氏は“He(Kim) is also tired of going through what he’s going through.”とも述べています。口語的な言い回しで正確に訳すことは困難ですが、あえてニュアンスに忠実に意訳すれば、「金委員長は必要でないこともあれこれしなければならず、うんざりしている」という感じではないかと思います。「金委員長が『非核化』を進めるために努力していることは分かっている」とトランプ氏は言っているようです。 北朝鮮の独裁的体制からして、金委員長の決定にはだれも異を唱えられず、金氏がうんざりすることなどあり得ない、うんざりするならやめさせればよいというのが常識的な見方でしょう。 しかし、「非核化」は北朝鮮の命運を左右する大問題であり、側近のなかにも、直接的に反対することはないにしても、さまざまな形で疑問を呈したり、金委員長が期待する通りに動かなかったりする人たちがいても不思議ではありません。 昨年のシンガポールでの会談でも金委員長はトランプ大統領に対し、国内調整が簡単でないことを示唆する発言を行っていたことが想起されます。われわれからすれば、推測を重ねるしかありませんが、金氏から多くの書簡をもらっているトランプ氏としては、我々の想像を超えることでも見えている可能性があります。