インフルエンザ予防に活躍 ── 公募キャラ「マウテ君」/大阪
今冬も流行の兆候がみられるインフルエンザ。集団感染で流行拡大が加速するだけに、油断は禁物。大阪で感染予防にひと役買っているのが、公募で生まれたマスコットキャラクターだ。元々子どもたちの啓発用に企画されたが、今では大学や高齢者施設でも活用され、啓発効果が幅広い世代まで広がっている。
「マウテ君」は名前からしてすごい
このキャラクターは「マウテ君」で、2013年8月生まれ。大阪府が、保健所設置市である大阪市、堺市などと共同で、インフルエンザの予防啓発のためのマスコットキャラクターを公募。ウイルスに対する抗体が少なく、集団感染しやすい子どもたちを、感染から守ることが目的だった。 応募点数2387件の中から、枚方市内在住の中学生、大前裕菜さんの作品「マウテ君」が、最優秀賞に輝いた。名前の由来は、主な感染予防方法である「マスク」「うがい」「手洗い」の頭文字。インフルエンザはウイルスの飛沫感染で感染が拡大するが、「マウテ君」は、名前そのもので、飛沫感染の予防策を簡潔に伝える優等生だ。 大きなマスクに「インフルNO!」。手洗いと、うがいが趣味で、チャームポイントは、ふわふわした頭の泡。きれい好きな性格で、マスクをコレクションしているというのが、「マウテ君」のキャラ設定だ。 「マウテ君」には基本形のほかに、3つのバージョンがある。ウイルスがいないバージョン、うがいバージョン、手洗いバージョンだ。啓発チラシでは「インフルエンザ予防の基本『マ・ウ・テ』」と題し、マスク、うがい、手洗いの方法を説明。各種バージョンの「マウテ君」が分かりやすく説明するため、子どもたちの評判は上々だった。 府では2年目の今年も、35万3000部を発行。幼稚園・保育所、小学校などに加えて、要望に応じて大学や高齢者施設にも配布され、啓発対象が世代を超えて広がっている。賢くて親しみやすい「マウテ君」効果といえそうだ。
インフルエンザは思いやりの病気
インフルエンザは気温と湿度が低下し、冷たい空気が乾燥して飛沫感染しやすくなる冬期に、流行期を迎える。「マウテ君」の誕生日が、流行期よりも早い真夏の8月に設定された理由がある。府健康医療部保健医療室医療対策課感染症グループの海部奈緒子課長補佐が、次のように話す。 「手洗いはあらゆる感染症予防の基本。インフルエンザが流行する冬期にだけ手洗いを励行するのではなく、感染症予防のために、日ごろから手洗いの習慣を身に付けてほしいというメッセージを、8月生まれの『マウテ君』に託しています」 「マウテ君」は「せきエチケット」も紹介している。学校や職場で、せきやくしゃみをする場合、手のひらで口や鼻をおおうだけで、ウイルスの飛沫を防ぐことができる。間に合わない場合は、人のいる方向を避け、横や下を向いてするだけでも、感染防止効果があるという。 海部課長代理は「インフルエンザを含む人から人へうつる感染症は、思いやりの病気。自分自身を感染から守ることが、周囲の人たちを守ることにつながります」と、人との交流の中で感染症と向き合う大切さを強調する。