選手村のエアコン未設置で“格差”!? 米水泳選手が指摘「小さな国に対するアドバンテージがひとつ増えた」【パリ五輪】
いよいよ開会式が間近に迫っているパリ五輪。207か国のアスリートが一同に会するスポーツの祭典において、重要な役目を果たすのが、選手やスタッフたちの拠点となる選手村だ。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 今大会の選手村も至れり尽くせりの施設になっている。24時間営業の食堂や映画館、さらには移動用の自転車が配備されるなどアスリートたちがストレスのない生活が送れるようにありとあらゆる工夫が凝らしてある。 そんなパリ五輪の選手村にあって一部で反発を招いているのが、各室のエアコンが未設置だった点だ。 これは「史上最も環境にやさしい大会を目指す」と謳った組織委員会の意向が汲まれ、採用されたアイデアだったが、通常とは異なる環境に一部の国からは疑問の声が噴出。猛暑への懸念から「選手たちにいつもと同じ環境」を求めた米国、英国、日本、イタリアなど主要国が実費で簡易エアコンを発注。パリ五輪の組織委員会によれば、すでに2500台の配備が決まっているという。 もっとも、簡易的なエアコンも設置は出場チームの自己負担となる。そのため、注文できる国も資金力のある主要国に限られている印象だ。 参加国による“格差”を生んでしまっている現状に疑問を投げるアスリートもいる。21年の東京五輪の100m平泳ぎで金メダルを獲得したリディア・ジャコビ(米国)は、地元紙『Alaskas News Source』で「彼らがエアコンを設置しないと決めたのは、ちょっと残念に思いました」と正直な考えを告白。そして、こう続けている。 「アメリカが持ち込んでいることは知っています。それから他の大きな国の代表も、エアコンとか冷房機器を持ち込んでいる。これは小さな国に対するアドバンテージがひとつ増えたようなもので残念に思います」 実際、資金力の乏しい代表団からは切実な声も上がっている。ウガンダの五輪委員会のドナルド・ルカレ会長は、米紙『Washington Post』で「私たちに潤沢な資産はない。私たちはトルコで行われた国際大会にもポータブル型のエアコンを持ち込めずに、うだるような暑さの部屋で宿泊した」とエアコンの未設置への持論を語った。 冷房機能に関する今回の選手村では地下水を利用した床下冷房を採用。室温を23~26度に保てると明言されているが、果たしてパリの猛暑に対応できるのか。いずれにしても、“エアコン問題”に対する余波はしばらく続きそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]
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