たくさんご飯を食べられるように…チャーミングドール陣営の細やかな工夫/新人記者のトレセン日記
新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記
人間と同じように馬も食事がとても大切で、ご飯を食べたほうがパワーが出ます。上原博調教師は「女馬は特に気をつかうな」と話すほど牝馬は〝食〟に注意を払っているそうです。 今週取材したのは日曜新潟の5R・2歳新馬戦(芝外1800メートル)でデビューするチャーミングドール(牝=父ファインニードル、母チャーム・上原博)です。名前の通り、きれいな栗毛と白い流星がとっても愛らしい。いったいどんな馬なのか、上原博調教師と担当の曽根さんに話を聞いてきました。 入厩したときの様子を「馬体は子供っぽい感じだったけど、ゲートはすぐに合格したよ」と上原博師。その後一旦、放牧に出て再入厩したそうですが「女馬っていうのもあってご飯をあんまり食べないな」とも教えてくれました。 「普通はエン麦と配合飼料を混ぜるんですけど、どちらかに分けて片方だけ食べさせています。そうすることでどっちを食べているのか分かるので」と曽根さん。まずは食べられるものを見極めるそうです。それだけではなく「配合飼料の中でも混ぜずにどっちを食べるか見たりもします。好きな方を多めに入れてあげたりするので」。数種類ある配合飼料でも好き嫌いを突き止めて、できるだけ食べられるように工夫していました。ちなみにチャーミングちゃんもその方法を実践しているようで「配合飼料のほうがやや好き」とのこと。 しかし、せっかく好きなものを見つけても「1週間単位で好きなものが変わったりする馬もいるんですよ(笑い)」というグルメな馬もいるそう。たくさん食べてほしいけど、なかなか口にしてくれないこともあります。「食べさせたいけど、(そもそも)食べないとだめなので」。まずは食べてくれるように配合などを工夫し、栄養をとることから始めていました。 そこまで聞くと、〝あんまり食べることが好きではないんだな〟という印象。でも、馬房で写真を撮るときには「まずはご飯! 写真は待って」と言わんばかりにご飯をバクバク食べていて、少し安心しました。これも厩舎スタッフの腕前ですね。 性格はというと「素直だよ」と笑顔の上原博師。「ワガママしないし、人の言うことを聞いてよくやってくれる」と調教も順調に進んでいる様子です。「ゲートも問題ないし、追い切りは初めて田辺騎手が乗ったけど、悪いことも言っていなかったよ」と調子も良さそう。 まずは無事にデビュー戦を走り終えることが目標です。「1回レースで使って前に進めたら」と上原博師が言うように、人間と同じで馬の成長もそれぞれ。新馬はまだ手探りな部分もあるので、今後どうしていくのか見極める大切な一戦です。陣営がチャーミングちゃんのために工夫した特別な一品。たくさん食べて頑張ってね。
栗栖 歩乃花