地震豪雨乗り越え新酒 能登町・数馬酒造
●取水地のポンプが損傷 元日に地震と津波の被害を受けた能登町宇出津の数馬酒造は21日、新酒の取り扱いを始めた。10月1日に今季の酒造りを始めようとした矢先、奥能登豪雨で取水地のポンプが損傷し、代わりに小木沖の海洋深層水を用いた。二重被災を乗り越えて造られた新酒を地元客らが次々と買い求めた。 同社は酒造りを例年10月~翌年4月に行っているが、昨季は地震で中断を余儀なくされ、今年4~8月に取り組んだ。今季も能登地域産の新米を確保し、準備を進めていたところ、豪雨で柳田地区の取水地が被災し、海洋深層水を代用することにした。 第1弾の新酒は「竹葉しぼりたて生原酒」で、県内を中心とした酒販店に出荷した。取水地のポンプは既に復旧し、これから出荷する酒に用いている。 12月には「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される。担当者は「多くの方の応援で無事に造ることができ、例年以上に思いはひとしお。寒ブリやカニと一緒に味わってほしい」と話した。