新型コロナ「第10波」か、9週連続で感染者増加 新たな変異株「JN.1」猛威振るう
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、新規感染者の数が9週連続で増えている状態となっています。感染力の高い新たな変異株「JN.1」も広がり、感染流行の「第10波」が来たとの見方も出ています。このニュースについて郷医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
新型コロナウイルスの感染状況は?
編集部: まず、現在の新型コロナウイルスの感染状況について教えてください。 郷先生: 厚生労働省によると、2024年1月21日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数は、前週から1万6090人増えて6万268人となっています。1医療機関あたりの平均患者数で見ると12.23人となり、前週の1.36倍に増えています。9週連続で増加しており、1医療機関あたりの平均患者数が10人を超えるのは、2023年9月以来とのことです。 感染者が増えた背景の1つとして指摘されているのが、海外で2023年秋頃から急拡大する新たな変異株「JN.1」が、国内でも増えていることが指摘されています。
新たな変異株「JN.1」とは?
編集部: 感染拡大の背景の1つとも指摘される新たな変異株「JN.1」について教えてください。 郷先生: JN.1はオミクロン株の一種で、2022年に国内でも広がっていた「BA.2」系統が変異したものです。世界各地で検出される割合が増加していることから、2023年12月にWHO(世界保健機関)がVOI(注目すべき変異ウイルス)に指定しています。 日本国内でも2023年11月頃から増加し始めています。国立感染症研究所によると、JN.1が検出される割合は2023年12月3日までの1週間で11.6%でしたが、2023年12月28日の時点では31%に急増していたと推定されています。WHOによると、免疫を逃避する能力が高まっている可能性があるとしていますが、入院や重症化のリスクが高くなっているという報告はないとのことです。 JN.1は海外でも感染の割合が増えており、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、2023年12月23日までの2週間に新型コロナウイルスに新たに感染した人の約44%がJN.1に感染しているとする推定を発表しています。これは前の2週間と比べると20ポイントほど増加していて、検出される割合が急増していることがわかります。JN.1を巡ってはアメリカ以外にも、フランスやシンガポール、イギリス、スウェーデンなどでも相次いで検出されており、WHOによると2023年12月16日時点で、41カ国からこの変異ウイルスが報告されているとのことです。 WHOはJN.1について、「本格的な冬を迎える中、感染の増加を引き起こすことが予想される」との見方を示しています。