プログラム・ディレクターが解説 「ガンダム」シリーズ「火垂るの墓」などや海外の長編アニメ作品が上映される、第2回新潟国際アニメーション映画祭
高畑勲作品一挙上映の意義
レトロスペクティブ部門では、今回は故・高畑勲監督の作品が上映される。前回は『AKIRA』や『スチームボーイ』などで、世界的に高い評価を受ける大友克洋監督作品が上映された。 この狙いについて、数土さんがこう語る。 「実は第1回の時から高畑さんは考えていました。海外から見た日本のアニメの場合、ひとつは『攻殻機動隊』に始まるサイバーパンクSFのエッジの効いた部分と、もうひとつは、スタジオジブリに代表される、家族で見られる良質で手書きの作品の2つの流れがあると思っています。前者のルーツは大友さんで、後者が高畑さんに行きつくと思います」 なぜ、同じジブリでも宮﨑駿ではなく高畑勲なのかと思うかもしれない。今でこそ両者は並立する存在として見られることが多いが、元々は「アルプスの少女ハイジ」のように、宮﨑駿も高畑勲の演出のもとで制作していた経緯がある。 「この2人を取り上げることによって初めて、『海外に評価されている日本のアニメ』が完成するのではないかと考えました。そこで第2回では高畑勲さんを取り上げることにしました」(数土直志 談)
映画祭の見どころ
開催日数6日間、上映作品数約65本以上にも及ぶ世界でも最大規模の国際アニメ映画祭だが、一体どのような人に見に来てほしいのか。数土さんがこう話す。 「まずは、新潟の新たなイベントとして、地元の方に気軽に観に来て楽しんでもらいたいですね。1週間だけここに登場する地元の非日常的な空間を、映画を見る行為で味わってほしいと思います。県外からは、アニメや映画ファンが中心になるとは思いますが、日本では未発表の作品も少なくありませんし、中にはこのような映画祭でしか上映されないような作品もあります。関係者によるトークイベント付きのものも多いですから、観光と絡めて思う存分楽しんでいってもらいたいですね」
文 / 河嶌太郎