プログラム・ディレクターが解説 「ガンダム」シリーズ「火垂るの墓」などや海外の長編アニメ作品が上映される、第2回新潟国際アニメーション映画祭
3月15日(金)から20日の(水)にかけて、新潟市で「新潟国際アニメーション映画祭」が開催される。世界でも珍しい長編のアニメーションを対象にしたアジア最大の映画祭で、昨年に引き続き今回が2回目。なぜ長編に特化した映画祭を創設したのか。なぜ、新潟という地方都市での開催となったのか。映画祭の見どころを、映画祭のプログラム・ディレクターを務める数土直志さんに聞いた。
近年ヒット作を飛ばし続ける長編商業アニメーション映画。一方で、作品を対象にした批評の空間が、実はちゃんと確立されてこなかった。こうした映画が評される場として映画祭があるが、国内でアニメを対象とした国際映画祭は、これまで「広島国際アニメーションフェスティバル」や「新千歳空港国際アニメーション映画祭」などがあったが、いずれも短編映画が中心で、かつ芸術志向が高いのが特徴だった。 こうした課題点をクリアするべく新設されたのが、「新潟国際アニメーション映画祭」だ。
6日間で65作品以上が新潟で上映
新潟国際アニメーション映画祭の魅力は、新潟という都市で6日間65作品以上が上映される規模の大きさだろう。 数土さんも、「昨年の開催実績と、海外の映画祭などで営業した甲斐あって、昨年以上に多くの作品が集まった」と話す。 上映される作品は、世界各国から出品されたアニメ映画から、審査員が事前に選んだノミネート作品を上映する「長編コンペティション部門」の12作品。これは制作コストがかかる40分以上の作品に限定し審査している。近年のアニメ映画作品で、顕著な貢献をしたと認められた技術スタッフや制作会社を表彰する「大川博賞・蕗谷虹児(ふきやこうじ)賞」の4作品。アニメーションの今を様々な視点で取り上げる「世界の潮流部門」15作品。今回は故・高畑勲監督の14作品を上映する「レトロスペクティブ」部門に大きく分かれている。 このほか、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』をはじめとするイベント上映6作品。今回は「時代劇」をテーマに選んだ4作品を夜通し上映する「オールナイト新潟」があり、まさに“アニメ映画漬け”の6日間を体験できる。これらの作品は単に映画が上映されるだけでなく、製作関係者が登壇し、トークイベントも行われる作品も多い。 「『ガンダム』のイベント上映は、富野由悠季監督のアニメ業界歴60周年を記念して決めました。『コンペティション部門』では、12作品中8作品は登壇者がいます。残りの4作品はスケジュールが合わずでしたが、ビデオメッセージをいただいておりますので、それを上映前に流す予定です」(数土直志 談) 登壇者も「ガンダム」の生みの親である富野由悠季監督や、『この世界の片隅に』の片淵須直監督、『アリスとテレスのまぼろし工場』をはじめ多数のヒット作の脚本を手がけてきた岡田麿里監督、そして『君たちはどう生きるか』で作画監督を務めた本田雄氏など、日本を代表する著名なクリエイターが新潟に集まるのも特徴だ。