新型メルセデス・ベンツ E220dは、21世紀のデジタルテクノロジーと20世紀的な伝統美の融合だったワケとは? やっぱりベンツはイイ!
まるでガソリンエンジンのよう
このようにE220dアヴァンギャルドはスタイリッシュな内外装に、21世紀的デジタルテクノロジーを搭載し、20世紀的内燃機関をフロントに搭載している。でもって、このISG(Integrated Stater Generator)を備える2.0リッターのディーゼルがE220dのキモであることは疑いない。 ボア×ストローク=82.0×94.3mmのロングストローク型で、総排気量1992ccの直列4気筒はアルミブロックにツインカムヘッドを載せ、コモンレール方式を採用して、ボルグワーナーのヴァリアブルタービン・ジオメトリー(VTG)ターボチャージャーを組み合わせ、最高出力197ps/3600rpmと 最大トルク440Nm/1800~2800rpmを発生する。これに17kW(23ps)/1500~2500rpmと205Nm/0~750rpmのマイルドハイブリッドのモーター(兼ジェネレーター)が発進&加速時にエンジンをアシストしている。これが効いているのだろう。まるでガソリンエンジンのようにレスポンスよく反応し、スムーズで、よくまわるように感じる。しかも、ふわあっと湧き出るトルクは大排気量エンジンを思わせる。 9ATはほとんどニンジャのようにシフトのアップとダウンを繰り返し、エンジン回転をつねに1500rpm以下に保っている。ひとたびグッとアクセルを踏み込むと、ディーゼルらしからぬ野太い快音を発して、4000rpmあたりまで一気にまわる。耳を澄ませていると、アクセルオフしたときに、ゴロゴロいっているような気はするものの、タコメーターがなければ、これがディーゼルだと気づかないのではあるまいか。 ピュア機械式のサスペンションは、ストロークこそたっぷりしているけれど、乗り心地はやや硬めにセットされている。それというのも、試乗車には例によってオプションのAMGラインパッケージが装着されているからだ。こちらを選ぶと、ホイールが標準の18インチから19インチに格上げされ、前後異サイズの前245/45、後ろ275/40というビッグでファットな超扁平になっちゃうのだ。 そこまでやる必要があるのか? と、問われれば、「義経」である。落語の「青菜」の隠居の真似で答えると(真似する必要はないけど)。こんなにビッグでファットな超扁平で、しかも可変ダンピングもエアサスも持たないのに、乗り心地が悪いわけではないのだから。速度が低いとピレリPゼロの当たりの硬さがちょっと気になるものの、ボディがしっかりしていて、そのことに感心する。高速巡航ともなれば、俄然スムーズでしっとりして、素晴らしい。