トニー・レオンが審査委員長、入江悠監督の特集上映など…第37回東京国際映画祭の最新情報を総まとめ
今年も10月28日(月)から11月6日(水)にかけて日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で行われる、第37回東京国際映画祭(TIFF)。開催まで2か月を切り、映画祭の花形である「コンペティション」部門の審査委員や新設部門、特集の内容など最新情報が着々と届いている。そこで本稿では、今年のTIFFについて現時点でわかっている主な情報をまとめていこう。 【写真を見る】昨年のマスタークラスも大好評!トニー・レオンがコンペティション部門の審査委員長に ■アジアを代表するスター俳優がコンペ部門の審査委員長に! まずは、例年世界各国から多種多様な作品が集まり、東京グランプリをはじめとした各賞を目指して競い合う「コンペティション」部門。昨年はドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が務めた同部門の審査委員長を今年務めるのは、香港を代表する名優トニー・レオン。 昨年の第36回では「ワールドフォーカス」部門で出演作『2046』(04)が上映され、その上映終了後にマスタークラスを行なったレオン。「日本は私にとって、いろいろな意味で身近な国であり、このようなかたちで映画の祭典に参加できることは私にとって大きなことです」と、大役を任された喜びを語る。 さらに「審査委員長を務めるにあたって、この映画祭が驚きに満ちたとても楽しいものになることを期待し、また確信しています。私が望むのは質の高い映画の大胆なラインナップで、ちょっとした冒険を味わえること。審査について私が感じるのは、審査委員の仲間と私自身の感覚を信じることが審査のプロセスに貢献するはず、ということです」と意気込みのコメントを寄せている。 また審査委員団にはほかにも、第34回と第35回の本映画祭でアンバサダーを務めるなどTIFFとゆかりの深い橋本愛をはじめ、『心と体と』(17)で第67回ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたハンガリーの映画監督エニェディ・イルディコー、フランスの女優キアラ・マストロヤンニ、そして香港ノワールの旗手として数多くの作品を手掛けてきたジョニー・トーが参加。彼らがどのような着眼点で作品を評価するのか、大いに注目したい。 ■女性監督&女性の活躍にフォーカスした部門が誕生! 「コンペティション」部門やアジアの新人監督のコンペにあたる「アジアの未来」、日本公開前の国内外の話題作をプレミア上映する「ガラ・セレクション」など主要9部門で構成されてきたTIFFに、今年から新たな部門が誕生する。 「ウィメンズ・エンパワーメント」部門と名付けられた新設部門は、東京都と連携し、女性監督の作品や女性の活躍をテーマとした作品に焦点を当てた部門。シニア・プログラマーを第34回で「Amazon Prime Video テイクワン賞」の審査委員を務めた初代駐日マケドニア大使のアンドリヤナ・ツヴェトコビッチが務め、現在作品の選定作業を行なっているとのこと。世界の新作(7本を予定)の上映に加え、シンポジウムやゲストトーク付き上映も予定されている。 ■入江悠監督の5作品が英語字幕付きで世界に向けて上映! そして、この1年の間に公開された日本映画を対象に、“特に海外に紹介されるべき日本映画”という観点から選考された作品を上映する「Nippon Cinema Now」部門では、毎年恒例の特集企画として入江悠監督の作品を特集。 上映されるのは入江監督の名を世に知らしめた『SR サイタマノラッパー』(08)をはじめとした「SR サイタマノラッパー」シリーズ3作品と、神木隆之介と門脇麦が共演した『太陽』(16)、今年公開され大きな話題を博した河合優実主演の『あんのこと』(公開中)の5作品。いずれも英語字幕付きで上映される。 入江監督は今回の特集上映決定に際し、「あっちにいきこっちにいき、右往左往しながら、映画を作ってきました。特集上映をしていただけるとのこと、身に余る光栄です。これまで一緒に映画を作ってくれたスタッフ・俳優の皆さんと、観客の皆さんに感謝します」と喜びのコメント。また、映画祭のプログラミング・ディレクターの市山尚三は「常に刺激的な作品を発表し、日本映画の未来を担う監督の1人。来たるべき海外での評価のきっかけになればという思いで企画しました」と期待を寄せている。 詳しいラインナップや上映スケジュールなどは後日発表。続報を楽しみに待とう! 文/久保田 和馬