『極悪女王』剛力彩芽「リングで感じたプロレスというジャンルの奥深さと役者との共通点」
昭和期の全日本女子プロレス(全女)を舞台にしたNetflixシリーズ『極悪女王』が大反響を呼んでいる。作品の中でクラッシュ・ギャルズのライオネス飛鳥を演じた剛力彩芽にも絶賛の声が殺到。その知られざる舞台裏を明かすとともに、ライオネス飛鳥も出演したラジオ番組『剛力彩芽は未来を編む』についても熱く語ってくれた!(全中後編の後編) 【写真】Netflixドラマ『極悪女王』について語る、剛力彩芽撮りおろしカット【15点】 ーー本家に迫るという意味では、『炎のバイブル』をリング上でパフォーマンスする際の無表情さ加減もライオネス飛鳥さんと瓜二つでした。 剛力 そこに気づいていただけたのは、率直にうれしい! ジャガー横田さん役の水野絵梨奈さんが本格的にダンスをやっているので(LDH JAPAN所属)、あの場面の振り入れも担当してくれたんですね。(長与千種役の)唐田えりかさんと3人で当時の映像を観つつ、「こういう感じじゃない?」とか表情や動きを研究したんです。 ーーダンスの動きって自然にその人の個性が出ますからね。 剛力 そうなんですよ。たとえば飛鳥さんのダンスはリズムをあまり取らないのが特徴なんです。でも、足だけは細かくリズムを刻んでいる。唐田さんは「ダンスは苦手」と言っていましたけど、ニコニコ楽しそうな表情で歌うところは本家の長与さんも絶賛していましたね。 ーー『極悪女王』は単なるプロレスの物語という枠にとどまらず、昭和という時代を濃密に描いた点も支持されている理由だと思います。 剛力 今の時代はネットで情報が簡単に取集できることもあって、熱中できる対象が増えているじゃないですか。もちろんそれも素晴らしいことではあるんですけど、あの国民全体がなにかに熱狂するような“濃さ”はあまりないかもしれないですよね。国民の多くがテレビで放送される内容に熱を上げて、ダンプ松本という存在に敵意を向けるという……。それをすべて受け止めたダンプさんというのは本当にすごい。カッコよすぎる。胸が熱くなりますよ。 ーーこの『極悪女王』が剛力さんのキャリアにとって重要な意味を持つことは間違いないはずです。この作品を踏まえて、今後、役者としてどのように羽ばたきたいですか? 剛力 ひとつ大きな発見があって、試合のシーンはすごく俯瞰で自分のことを見ていたんですよ。あれだけリングで熱い闘いを繰り広げているのに、不思議と妙に冷静な部分があったんですね。結局、私は本物のプロレスラーになろうとしていたわけじゃなくて、役者として本物みたいに見られることが大事だったんです。似たように聞こえるかもしれませんが、この差はすごく大きかったです。アドレナリンが出過ぎてやりすぎちゃうと、演技として破綻しますから。 ーーそれは意外な視点ですね。 剛力 プロレスというジャンルは、そこが奥深いところだと思うんです。自分さえよければOKというわけじゃなくて、相手を光らせなくてはいけない。そのためには、どこか冷静である必要がある。すごく頭を使うんですよ。でもそれは役者にも通じるところがあって、カメラアングルとかを計算しながら共演相手のことを想像したほうが芝居としてよくなるはずなんですね。結局は相手を思いやることが大事。そこに気づけたことは自分の中で大きな成長に繋がったと思います。