テレ東・田中瞳アナが明かした“地域猫”の絆「初めて出会ったのは3年くらい前…」
テレビ東京アナウンサー・田中瞳の初のエッセイコーナー「瞳のまにまに」。 今回のエッセイは田中アナが可愛がっている地域猫との絆の物語についてです。 【前回はこちら】テレ東・田中瞳アナ「一人で飲んでたら驚きの事態に遭遇!」その後、行きつけになった居酒屋での“ある出来事”とは
屋根の上 屋根の下
先日ある講演会で、亡くなった人に手紙を書くというワークショップがあったので、あなたにも書いてみようと思ったんです。決めつけてはいけないけれど……きっとそうですよね。もう随分長いこと姿を見ていません。 初めて出会ったのは3年くらい前でした。ふと窓の外に気配を感じて視線をやると、小さなあなたがいたのです。ガレージの屋根の上で、へにゃりと丸まって気持ちよさそうに眠っていました。なるほど、平らではなく、細かく波打つようなあの屋根は寝心地が良いのかもしれませんね。小さな体には広すぎるくらいの敷地、しかも誰も来ない場所なので、心からリラックスしているように見えました。
私はあなたに名前をつけました
それからというものの、雨の日以外は毎日眠りにやって来ましたね。お顔が見える日もあれば、おはぎみたいな丸っこい背中しか見えない日もありました。あなたは時間によって日当たりが変わることを何となく知っていて、日向に限りなく近い日陰の部分をよく好んでいたと思います。いないと思ったら、屋根にせり出すように茂っていた葉の下で丸くなっているのも見かけました。木漏れ日のように背中に光が注ぎ……あれはなかなか趣深い光景でした。自分が一番心地よい場所を、その日その時間によって本能的に選ぶ。寝るために。なんて心豊かな日々なんだろうと感心していました。 当時、グアバの実が成った枝を壺に入れて飾っていて、それを大変気に入っていた私はあなたに名前をつけました。勝手なことしてごめんなさい、グアバさん。
ある日、別の子が姿を見せて…
ある日、何気なく例のガレージの前を通ると、奥の方からグアバさんとは別の子が姿を見せたのです。咄嗟にモフと名づけました。座ったときの形がモフっとしているからです。知っていますよね、すこし遅れてあなたもひょっこり顔を見せてくれたのですから。屋根の上にいないときは、屋根の下でモフと暮らしていたんですね。 あと、もうひとつ気がついたことがあります。上にいるときは遠くて鮮明に見えなかったグアバさん。体が小さいから子どもだと思い込んでいましたが、あなたはおばあちゃんだった。モフはグアバさんに構ってほしいようで、何度もそーっと近づくのですが、あなたが大きな声で激しく威嚇して追い払っていましたね。屋根の上でまどろんでいる姿からは想像できない姿に少し驚きました。私も含め、すべてと一定の距離を取ろうとしているように見えた、あの日のグアバさん。 それ以来、2人の姿を見かけるたびに、仲良くねーと声をかけました。干渉してごめんなさい、でもせっかく同じ空間で暮らしているのだからと思いまして。