加藤ローサ「なんで結婚するんだろう」幼少期からの疑問、10年の夫婦生活で見つけた答え
当時は、仕事に悩んでいた。 大手事務所に所属し、大きな仕事が絶え間なくやってくる。文字通りの売れっ子だったが、本人は、キャパオーバーを感じていた。 「結婚する1年くらい前から、仕事に対して、以前ほど意欲がなくなっていました。いただく仕事一つひとつに丁寧に向き合えないことに自己嫌悪を感じたりして、苦しかったんです。忙しすぎちゃったのかな。とにかく休みたい、ってずっと言ってた気がします」
夫とは「Skype婚」
事務所に相談したところ、演技ではなくバラエティー番組のMCをやってみたらどうかと提案された。 「で、けっこう時間ができて。そんな時、知人を介して夫と知り合いました。といっても、すでに彼はフランスにいたので、直接ではなくて、最初は電話でした。その後、Skypeで話すようになって。24時間ずっとSkypeをつけっぱなしにしてバーチャル同棲みたいな? 一緒に映画を見たり、タイピング対決をしてみたり。子ども時代のことや、両親の名前までお互いに知って、不思議でしたね。実在しない、パソコンの中の恋人という感じ。そんなことを4カ月くらい続けていたら、突然、彼が帰国して、いきなり私の家にきたんですよ。当時、私は母と一緒に暮らしていたので、3人でご飯を食べて、っていう、それが初リアルデート(笑)。そこからはもう怒涛で、3カ月後くらいには結婚。自分でもびっくりでした」 「◯◯婚と例えたら?」という質問に、「Skype婚です」という答えを用意していたというが、誰にも聞かれないまま10年が経ったと笑う。
「バラエティー番組を終えて、妊娠8カ月で、フランスへ行きました。いや~、大変。まず、私はほとんど料理をしたことがなかったんですよ。それがいきなり朝・昼・晩と3食。5冊くらい持っていった料理の本を使って、泣きながらやってました。フランスでも田舎町だったから、日本食はもちろん、デリとか便利なお店がほとんどなくて。夫はアスリートだし、自分も妊娠中で食欲がすごいから、必死でした。ギョーザも皮から手作りしたり、みりんとか、薄口醤油とか、手に入らないものがある時にどうしようかって工夫をしたり……その経験が、今に生きている気がします。速さと手際の良さだけは自慢できますよ。味じゃなくて(笑)」 日本では体験したことのなかった人種差別や、ルーズな仕事ぶりなど、フランスではさまざまなカルチャーショックも味わった。 「ゲームしてお菓子食べて、指をなめながら切符を売ってる駅員さんとか、診療時間に開かない病院とか、もう、いろいろと衝撃でしたよ。でもね、なんとなく、ここまでじゃないにしても、日本人も、もっと自分勝手に生きていいんじゃないかな……と思っちゃいました。私たちって真面目すぎて、いろいろ背負っちゃう国民性なのかなって」