博物館はジェンダー平等目指すべき? 今の時代に求められる工夫は
今秋開業する国内最大級のスタートアップ支援拠点内の展示施設「あいち創業館」(名古屋市)をめぐり、当初の計画で紹介される予定だった「産業偉人」が54人全員男性であったため、市民から批判の声が上がりました。同館を設置、運営する愛知県は女性の偉人も展示する方向で見直しを進めています。 【写真】整備が進むステーションAi。あいち創業館は2階に整備される。公園横のサッカーグラウンドに隣接している=2024年7月5日、名古屋市昭和区、川西めいこ撮影 ジェンダー平等を目指す今の時代、小中学生の社会科見学でも利用される博物館や史料館といった展示施設では、展示内容にどのような工夫が求められるでしょうか。 朝日新聞のアンケートで意見を募集したところ、ジェンダーバランスへの配慮を積極的に求める声から、慎重に検討すべきだとの声まで、多くの意見が寄せられました。一部を紹介します。 ■なぜ「男性」の情報多いのか考えて 博物館や史料館が「中立」という立場だけを考えていると、無意識・無自覚のうちに権力者に寄った視点になってしまう恐れがあります。日本の場合で言えば、それは圧倒的に高齢男性で、その力を持った人だけが歴史に残ってしまうというリスクすらあります。あらゆるジェンダーマイノリティーの声なき声に耳を傾け、その言葉を丁寧に記録し、保存し、後世に伝えていくことこそが、博物館や史料館が持つべき倫理ではないでしょうか。(東京都、男性、30代) 博物館や史料館は、なぜ「男性」の情報が多いのか、常に考える必要があると思います。弱者の立場やいないものとされた者の記録は残りにくいし、そもそも存在しないのではないかと思います。生きやすく感じている人が今の社会を作っています。生きにくい人も、博物館や史料館に関われるといいと思います。(愛知県、その他、40代) 事実をありのままに展示するのが博物館や資料館であり、ジェンダーの視点で展示物を変えたりすることが全く不可解。展示対象者が男だ女だということを全く考えないのがジェンダー平等なんじゃないんですか? 結果、男性が多かろうが女性が多かろうが、それを気にしないのが本来のジェンダーレスでは?(大阪府、女性、50代) ■過去のジェンダー観、現代とは違う 過去はこうであったため、時代背景が現代とは違うことを理解していただくために男性ばかりになったということでもよいのではないでしょうか。少なくとも昭和の時代までは男女別の役割(男は仕事、女は家庭)という価値観が黙認されてきたんだから、歴史研究の上で江戸時代でも明治時代でも今のような女性活躍という認識はほとんどなかったのだから今更時計の針は戻らないのだからね。(兵庫県、男性、50代) ■アンケート募集、24日まで アンケートは引き続き募集しています。24日午後2時までの予定で、誰でも参加できます。サイトでは回答者の自由記述をすべて読むこともできます。(https://www.asahi.com/opinion/forum/209/)
朝日新聞社