「手塚治虫先生の作品に出会ったことで…」連載20年超! 漫画『彼岸島』…広がり続ける世界観の原点
意外だった!? 作者・松本光司氏のルーツ……
『週刊ヤングマガジン』で’02年より連載されている松本光司氏のホラー漫画『彼岸島』。タイトルでもある『彼岸島』を舞台に、主人公・宮本明と篤の兄弟がマスターヴァンパイア・雅率いる吸血鬼勢力と繰り広げる戦いを描く作品だ。 【漫画】4月には連載400回を突破した『彼岸島 48日後…』! その第一話は… ’10年からは『彼岸島 最後の47日間』、’14年からは『彼岸島 48日後…』とタイトルを変え、舞台を本土に移して今もなおハイテンションに続いている。 4月に『48日後…』の連載が400回を突破した同シリーズの作者・松本光司氏にインタビュー。後編では、漫画家としてのルーツに迫ってみた。 ◆「僕の中に根付いているもの……感情は、手塚漫画なんですよ」 「ちっちゃい頃からずっと漫画は描いていました。ただ、実際に作品を描き上げるのは、子どもには難しい。僕は小さい頃、絵がそこまで描けなかったので、漫画も一応描くけど、自分が出したいモノを出すために、小説を書いて挿絵を入れるとか、いろいろなことをやっていました。 それが中1か中2くらいの時、手塚治虫先生の作品に出会ったことで、はっきりと漫画家になりたいという思いに変わったんです」(松本光司氏 以下同) 意外にも、松本氏の漫画家としての原点は、手塚治虫作品だった。では、手塚漫画みたいな作品を描こうとした時期も? と聞くと、ポカンとして、逆に聞き返された。 「いやいや(笑)。今も描いているつもりではあるんですよ(笑)」 そして、こう補足する。 「絵はたぶん全然違うと思うけど、手塚漫画にもいろいろあるじゃないですか。 屈折したキャラを描くことも多いし。自分には『火の鳥』みたいなスケールのでっかい物語は絶対に無理だなとか、一話完結の完成度の高い『ブラックジャック』みたいなのは無理だろうとかは思いますが、僕の中に根付いているもの、感情は、手塚漫画なんですよ」 個人的には『彼岸島』が’02年にスタートした時、第1話ですでに、誰の何の作品にも似ていない独自の世界だと思った。突然変異のようなオリジナルの世界観はどこから来たのかとも思っていたが……。 漫画を描く上で日頃インプットしているものはどんなものなのか。 「ネタにつまった時、一番使えるのは、映画でも漫画でもなんでもいいですけど、自分が昔から好きだったものを見ることですね。情熱を思い出すんですよ。スランプ時には、いろいろ小さいことに気を使った結果、脳が縮こまってしまって、何も浮かばなくなることが多いんです。 そういう時、昔から好きだったもの、最近だったら漫画の『キラキラ!』(安達哲)を読み返しましたが、大好きなものを見返して感動すると、『漫画を描きたい』という気持ちを思い出します。情熱を持つと、小さなことなんてどうでもよくなって、面白ければなんでもいいと自分を縛っていた小さな問題を振りほどけるんです」