兵動大樹「心に響いた松本人志さんからの言葉」 若さを失っても笑いは深くなっていく
■笑いの職人を目指して 以前、松本(人志)さんから「すべらない話」の時に「兵動は職人やな」と言ってもらったことがあったんです。 僕、昔から職人さんをすごくリスペクトしていて、一つのものを突き詰める姿勢。周りが「よい」と言っても、自分が納得いかなかったら「よくない」と言う姿勢。そんなところにあこがれを持っていたんです。そして、そういう積み重ねが何かしらの深みにつながっている。それもすごいことだなと。
自分で言うのはおこがましい話ですけど、一応、いろいろ考えながらしゃべっている。しゃべり続けている。これは積んでいることにはなるんだろうなと思います。 最近、自分のYouTubeチャンネルにアップするために昔自分が話していたエピソードを見る機会が増えたんですけど、そこでも本当にいろいろと感じます。 「こんなに勢いがあったんや」とか「この目線を持ってたんや」とかそういう驚きもあるんですけど……、これも正直な話、今のほうが面白いと思います。
■昔の自分の笑いと何が違う? 若さゆえの切り口とか勢いはあるんです。ただ、細かいところで言うと、女性に対して「おばはん」とかいう言葉を使っている。とがった言葉が随所に入ってるんです。そのほうが勢いはつくのかもしれませんけど、やっぱりその言い方は引っ掛かるんですよね。「おばさん」とか「奥様」のほうが邪魔をしない。 それは本当にたくさんある中の一例ですけど、そういうものが端々に見えるということは、今のほうが目がよくなってるんだろうなと。
そして、今と同じように積み重ねをしていけたなら、10年後、64歳の時のほうが面白くなっている。それも思います。また、そういられるような職人でいないといけない。 30代の自分とお笑いで戦ったらですか? そうですね、時間にもよりますけど、1時間の勝負なら、絶対に今の自分が勝ちますね。瞬発的な一発のパンチ力とかなら30代のほうがあるのかもしれませんけど、総合的に戦ったら負けない。試合運びでいうと、ゆっくり、ゆっくりいくけれども、どこかで捕まえたら離さない。そんな勝ち方になるのかもしれませんね。