「少数与党」の国会~生活にも影響 “103万円の壁”動く【#きっかけ解説】
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ニュースのその先を考える記者解説。5日のテーマは「私たちの生活にも影響 少数与党の国会」です。政治部・西山記者の解説です。【#きっかけ解説】
先週から始まった臨時国会、きょうからは予算委員会に舞台を移し与野党での論戦が始まっています。 この臨時国会、実は自民党と公明党が「少数与党」になってから初めて本格的な論戦が行われている国会なんです。 ──「少数与党」の国会だと、どんな影響が出るんですか? それは、「与党だけでは何一つ決められない」ということです。
国会で審議される予算案や法案は例外もありますが、基本、衆議院と参議院で過半数の賛成で可決されると成立します。 ただ10月の衆院選で自民・公明の与党は過半数を失いました。 つまり、予算案、法案を与党だけでは成立させられなくなり、野党にも賛成してもらわないと成立しない状況になっています。
──野党の協力が必要ということですが、与党はどのように考えているのでしょうか? 与党は、野党の主張を取り入れる事で協力を得たい考えです。そこで今、話題になっているのが「年収103万円の壁の引き上げ」の話です。 これは衆院選で大きく議席を伸ばした国民民主党が主張している政策なのですが、与党側は、この国民民主党の「看板政策」を取り入れるかわりに、物価高対策などの裏付けとなる今年度の補正予算案への賛成を取り付けようとしているわけです。
──つまり、「少数与党」の国会になったから、「103万円の壁」を引き上げるという野党の政策も実現する可能性が出てきた訳ですね? そうなんです。「103万円の壁」が引き上げられれば、これまでと働き方が変わるという方もいると思います。これは、まさに「少数与党」の国会となったことで起きた変化です。
──この国会での注目点、他には何でしょうか? 政治とカネの問題にも注目です。 政治の信頼回復に向けて、与党は政策活動費の廃止など、政治資金規正法の再改正を目指していますが、企業・団体献金をめぐり禁止を求める野党と慎重な与党で意見の隔たりは埋まっていません。 ──「与党が野党に気を遣う」国会は今後も続いていくわけですよね? そうなんです。ある自民党の幹部は「正直言えばこの臨時国会は予行演習だ。本番は来年の1月から始まる通常国会だ」と、早くも危機感を募らせています。 というのも、来年度予算案など重要な案件を審議する来年の通常国会では、 国民民主党の協力が得られるかはまだわかりません。国民民主は政策ごとに協力するか決める、という姿勢だからです。 政府与党が安定的に政策を実現させられる見通しが立っていないんです。 過去には、少数与党政権だった羽田内閣が、野党に内閣不信任案を提出されて、政権発足からわずか64日で総辞職に追い込まれた例もあります。