「風向きを変えたい」と発言したことは全くない…斎藤元彦知事、県幹部の証言との違いは平行線
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会は25日、斎藤氏に対する3回目の証人尋問を行った。斎藤氏は告発を巡る県の対応を「適切だった」とし、パワハラ疑惑も「業務上の指導」とするなど、従来と同様の答弁を繰り返した。証人尋問は今回で最後の予定で、百条委は来年2月中旬をめどに調査報告書をとりまとめる。 【表】実際どうなのか…斎藤知事を巡り、SNSで拡散している情報
問題を巡っては、前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月、一部の報道機関などに告発文書を送付。4月には県の公益通報制度を利用し、ほぼ同じ内容を通報した。県は5月、「(文書は)核心的な部分が事実でない」とし、公用パソコンで私的な文書を作成していたことなど他の3件の不適切な行為も含め、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。
斎藤氏は25日の質疑で、「真実ではないことが書かれており、誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書だと認識していた」と述べ、公益通報で保護される対象ではないとの考えを示した。
当時副知事で、男性職員の公用パソコンを調査した片山安孝氏からは3月末頃、「クーデター」との言葉を聞いたとし、「これは穏当な話ではないと認識していた」とも語った。
懲戒処分についても、「中傷性の高い文書を作成したことへの処分で、適切な対応だった」と述べた。
平行線
これまでの証人尋問で浮き彫りになった、県幹部との証言の食い違いも、平行線のままだった。
井ノ本知明・前総務部長は10月の証人尋問で、「公益通報に基づく調査が終わるまで処分を待つべきだと知事に進言した」と語った。その後、斎藤氏から「(自身への批判の)風向きを変えたい」と言われ、処分の前倒しを検討したと証言。これに対し、斎藤氏は25日、「『風向きを変えたい』と発言したことは全くない。処分は人事当局が調査し、正規の手続きを経た」と答えた。