累計利益100億円のテスタ氏が投資初心者に伝えたいこと
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)も、もうすぐ2年目に突入します。「成長投資枠」を利用した個別株投資にチャレンジする人も増えている一方、踏み出せずにいる方もいらっしゃるかと思います。 そこで、紹介したいのが、「 マンガでわかるテスタの株式投資 」(大和書房)です。株式投資で累計利益100億円を突破した個人投資家、テスタさんが監修し、マンガでわかりやすく金融リテラシーを身につけることができます。 今回はこの本に込めた思いや現在の投資手法について、テスタさんにうかがいました。 ーー10月19日にテスタさん監修の 「マンガでわかるテスタの株式投資」 が発売されました。どんな思いで携わったのでしょうか。 「初心者なのですが、どの本を読めばいいでしょうか」と、聞かれることが多いのですが、自分の中で「これだ」と提示できるものがありませんでした。それをつくれたらいいなと思ったのがきっかけで、監修として携わることを決めました。 絶対盛り込もうと思っていたのが「投資詐欺」についてです。マンガでわかりやすく金融のリテラシーをつけてもらうことで、新しく投資を始めた人たちの詐欺被害を減らせると考えました。高校生でもわかる内容となっていますので、多くの人に手を取っていただければ嬉しいです。 ーー高校生に向けた金融教育も始まりました。 非常に大きな出来事だと思っています。貯蓄から投資へというのも含めて、日本はそういう教育が遅れている印象です。お金は人生でずっと使うものにも関わらず、なぜか学校で勉強してこなかった。今回の本ならマンガでわかりやすいので、初めの一歩を踏み出すきっかけになればと思います。 大学や高校にお招きいただくこともあるのですが、そこではお金について考えることの大切さを基本的にお話しています。加えて、歴史的にはインフレで生活面の物価が上がってくることが多いため、現金だけ持っていても大丈夫なのかということも話したりします。 そのうえで、将来的には投資信託などに最初から固定してしまうのではなく、個別株などに挑戦するという機会があってもいいんじゃないかな、と思います。株式投資は圧倒的に夢がある世界です。大人になってから他のことで財をなそうとしても、なかなか難しいでしょうし、仕事をしながらでもできる方法としては、魅力的な選択肢だと感じます。 ーー個別株投資を始める人は何から始めたらいいのでしょうか。 まず、自分が得意なことを見つけることが大切です。 私はファンダメンタルズの勉強が苦手でしたけど、テクニカルなどに特化したらうまくいきました。ただ、やる前はどっちに向いているかわかりませんから、試してみて取捨選択するしかありません。それぞれ年齢も適正も資産規模も違うわけですから、自分のオリジナルスタイルをつくるしかないと思っています。 たとえば、自分が興味のあることや、働いてる業界のところから調べていき、 どこが他の人より優位性があるのかを考えるのがおすすめです。勉強法一つとっても、XなのかYoutubeなのか、会社四季報など紙媒体なのか、自分の向いているものを選ぶのがよいと思います。 ■これまでで印象的だった銘柄は? ーー株式投資を始めた当初はデイトレードが中心でしたが、2016年以降は中長期目線の戦略に切り替えています。どのように銘柄を探していきましたか? 当時、いわゆるスマホゲームとかのセクターがすごく盛り上がってたので、その中から新しく出たゲーム会社の株を買いました。「セルラン」と言われるセールスランキングを毎日チェックして、どれぐらいの売り上げがあるのかを予想しながら、決算数字を推定しました。 当時は今ほどゲーム業界を調べるということも成熟してなかったので、こういった手法を取る人も少なかったです。とにかくこのセクターに特化して、ゲームを実際にプレイしたり、 関連グッズやイベントの動向を見たりしてましたね。 ーーこれまでで印象的だった銘柄は何でしょうか。 海運関連はよく覚えてます。大型株でお金をいくらでも入れられたっていうのはすごく大きかったです。こういう相場は本当に1年に1回あるかないかで、そこをつかめたのは本当によかった。 日本郵船(9101)はコロナ禍で一瞬下がったのですが、それからは右肩上がりで上昇しています。2020年に500円前後だったところから、現在は5000円を超えました。 最初は思惑で上がっていたけれど、今はもう完全に実績がそれを上回って推移している印象です。 ほかにも、自治体広告を展開するホープ(6195)もインパクトがありました。2019年には500円とかその程度の価格だったのですが、1年くらいで急に7900円超まで上昇したんです。しかし、そのまた2年後くらいには200円程度まで下落したんですよね。難しいタイミングでしたが、2倍程度で売り抜けることができました。 ■配当投資で不労所得の方向に ーー現在のポートフォリオはどうなっていますか。 中長期目線では、配当に特化したのが50%程度。その中には配当だけを狙っているものも、値上がり益を狙っているものもあります。 株式投資では不労所得みたいなものを夢見ているのですが、実際やってきたことは真逆だったんです。デイトレード中心のときは、必死で働いてるようなものでしたから。徐々に不労所得のような方向に向かっていければいいなと思って、資金を振り向けているところです。 銘柄を選ぶときは、会社の大きさや安定性、配当利回りなどを意識します。なるべく全体の業種が被らないようにするなど、分散も試みています。最近はいわゆるオルカンや、不動産、金などいろいろなものに振り分けて安全性を高めることも考えています。 ーー売買タイミングはどのように決めていますか。 値上がり益を狙う方は、基本的に3カ月から半年先の未来を考えながら、利益を伸ばして損切りを早くすることを意識します。一方、配当狙いの株は逆の動きになります。株価が上がると、配当利回りが低くなりますので、そのときに高配当と呼ばれる平均リターンから逸脱したら売却という感覚です。この基準は4%や4.5%など時代によって変化します。 ーー2024年8月5日には、日経平均株価が4451円安と急落しました。大暴落に備えるためには何を意識したらよいでしょうか。 大きなロット(数量)を入れないことが一番大事です。投資していてドキドキしすぎていたら、それは自分にとって金額が大きすぎるということです。自信があると大きなお金を入れたくなりがちですけど、投資を始めたときの元手は将来的な資産を考えたら小さなものですから、最初は着実に増やしていくという意識が大切だと感じます。 市場は逃げないので、何回退場したって別にいいわけです。100万円なくなったらまた100万円貯めて帰ってくればいい。あとは損切りなど自分が決めたことを、どれだけ強い意思を持ってやれるかどうか。これができる人は誰でも勝てる世界だと思っています。 (構成:伊藤退助) テスタ/個人投資家。2005年9月に株式投資を開始。2021年8月に総利益50億円、2024年2月には同100億円を達成。株式投資開始以降、年間リターンでマイナスになった年はない。2014年以降、全国の児童養護施設への寄付を継続的に行っている。 ※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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