冬のボーナス、企業の24.1%で昨年より「増加」
賃上げを実施する企業が広がりを見せてきたなか、それを上回るスピードで物価高が進み、実質賃金は18カ月連続で低下しています。 2023年は、3年あまり続いた新型コロナ禍が収束し、企業が選ぶ漢字で「変」がトップでした。 生成AIの急速な活用拡大など時代が大きく変わる節目を迎えるなかで、2024年は賃金の動きが最大の焦点になるとみられます。 こうした状況のもと、帝国データバンクは、2023年冬季賞与の動向について調査を実施しました。
冬季賞与の1人当たり平均支給額が前年より「増加」する企業は24.1%に上昇
2023年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)の従業員1人当たり平均支給額について、「賞与はあり、増加する(した)」企業は24.1%となりました。 特に、旅館・ホテルやリース・賃貸など観光関連、ポスターやチラシ関連を含む紙類・文具・書籍卸売が高くなっていました。 一方で、「賞与はない」企業は12.2%でした。なかでも「繊維・繊維製品・服飾品小売」は40.2%と2年連続で4割を超えたほか、「飲食店」も32.3%にのぼっています。 ただし、いずれも昨年より5ポイント以上低下しており、徐々に賞与を支給しない企業は減少しています。
2年連続で冬季賞与が「増加」する企業は10.3%へ上昇
業界別では、6業界で冬季賞与が「増加」する割合が2年連続で高まりました。 インバウンドを含む旅行需要の拡大や対面型サービス、建設業などで上向き傾向が現れた格好です。 また冬季賞与が2年連続で増加する企業は10.3%と昨年から1.7ポイント上昇しています。 賞与を増やす企業からは「受注残はバブル期以上」(鉄骨工事)や「観光客およびオフィス勤務の回復」(コンビニエンスストア)、「円安によるインバウンド需要の拡大」(旅館)などの意見が聞かれました。
ボーナスの増大が消費拡大の起爆剤に期待
2023年冬は企業の79.9%が、ボーナスや一時金などを含め何らかの賞与を支給する予定となりました。 実質賃金の減少が続くなかで、賞与の増大が消費拡大の起爆剤となることが期待されます。 調査期間:2023年11月16日~30日 調査対象:全国2万6972社、有効回答企業1万1396社(回答率42.3%) 調査方法:インターネット調査 なお、冬季賞与の動向に関する調査は2020年、2021年、2022年に続き4回目