AI開発競争が招いた米ビッグテックの「原発ジレンマ」
電力需要増加に伴い原発に目を向ける グーグル、原発メーカーと電力購入契約 企業の再生可能エネルギー活用後退への懸念も
米国のビッグテックが、人工知能(AI)開発と駆動のために原子力発電などエネルギー関連の投資を増やしている。AIの主要インフラであるデータセンターの電力需要が爆発的に増加すると予想され、太陽光や風力など再生可能エネルギーの他に原発にも目を向けているということだ。AI競争が加熱するにつれ、気候危機対応のために企業が再生可能エネルギー100%活用に向けて努力する目標(RE100)が後退する恐れがあるという懸念が出ている。 グーグルは14日(現地時間)、米国の小型モジュール原発(SMR)スタートアップのカイロスパワーと電力購入契約を結んだと発表した。カイロスパワーは2030年に小型モジュール原発の初稼動を目標にしているが、グーグルはこの会社が開発中の小型モジュール原発を通じて計500MW(メガワット)の電力供給を受ける予定だ。ただし、小型モジュール原発はまだ商業化の事例がないため、未来計画に近い。 グーグルが原発企業と直接手を組んだのは今回が初めて。AI事業の投資が増えるにつれ増加する電力需要を対応しきれなくなるという判断のためとみられる。ディープラーニングを通じて自ら学習するAIは、大量のデータ演算を高速に処理する。その過程で、データセンターの電力消費も従来に比べて増加せざるを得ない。一例として、グーグルで一般的な検索をする時には平均0.3Wh(ワット時)の電力が必要だが、チャットGPTに同じ内容を尋ねる時は、約10倍の2.9Whの電力が消費される。 実際、今年7月に公開されたグーグルの年次環境報告書は、昨年だけで計1430万トンの温室効果ガスを排出したと明らかにした。2019年に比べ48%増加した数値だが、データセンターの高い消費電力量などが増加の原因に挙げられた。グーグルのスンダル・ピチャイ最高経営者(CEO)は3日、日本経済新聞とのインタビューで、2030年までに温室ガス排出を実質ゼロ(0)にする目標に邁進しているが、AIに対する投資が増え、追加措置が必要になったのも事実だと語った。グーグルは2023年には全てのデータセンターで使うエネルギーのうち平均64%を無炭素エネルギーでまかなっている。 これに先立って米国の原子力1位企業であるコンステレーションエネルギーは先月、マイクロソフトのデータセンターに20年間電力を供給するために、2019年に経済性の問題で稼動を中止したスリーマイル原発1号機を2028年から再稼動することを決めた。アマゾンウェブサービス(AWS)は今年3月、原発で稼動する大型データセンターを6億5000万ドル(約8800億ウォン)で購入した。 韓国国会立法調査処のユ・ジェグク先任研究官は「データセンターは24時間休みなしに稼動しなければならないため、間欠性が強い太陽光・風力などの再生可能エネルギーは補助的エネルギーとしてのみ活用の余地がある」として「(原子力だけでなく)新再生・液化天然ガス(LNG)など多様なエネルギー源を活用してデータセンターに安定した電力を供給できる電力網を備えなければならない」と述べた。エネルギー正義行動政策委員のイ・ホンソク委員は「AI技術が今後どれだけ効用性を持って使われるか分からない状況で、ビッグテックが緻密な熟慮なしに直ちに電力が必要だという理由で原発に投資することには懸念がある」と話した。 ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )