<変わった米大統領選の潮目>ハリスに有効な攻撃が見つからないトランプ共和党のジレンマとは
焦点となる副大統領候補
米国大統領選挙は、バイデンの撤退の後、トランプとカマラ・ハリスの間で争われることになったが、この社説は、第一に、この選挙がどちらかが勝つと決まっているようなものではないと指摘している。その指摘はその通りだろう。
バイデン撤退後、バイデンが指名したカマラ・ハリス副大統領で民主党がまとまるか、他の候補者が名乗りを上げないかを見ていたが、民主党は見事に、あっという間にまとまった。バイデンに代わる候補者をハリスを含め競争させるべし、ハリスに戴冠するのには反対という声もあったが、時間的余裕もなく、民主党がハリスでまとまったことは良かったと思われる。 今後については、ハリスがオンライン投票で大統領候補者に指名され、その後、副大統領候補が指名されるという段取りかと思われるが、ハリスの副大統領に誰が指名されるかが注目点である。米国大統領選挙はいわゆる激戦州での結果によって決まるので、そこでの勝利に貢献できる副大統領候補をハリスが選ぶことになるのではないか。その際に政治的中道の人を副大統領候補に選べば、この社説の指摘するカルフォルニアでのハリスの左翼的決定への共和党側からの攻撃への防御にも役立つと思われる。
元検事はトランプ節とどう戦うか
トランプとハリスの討論会がどうなるかがワイルドカードとこの社説は言うが、ハリスは検事経験者であり、トランプの議論は簡単に反論できるのではないかと考えている。ハリスはトランプのような犯罪者を取り調べてきたと言っているが、討論会ではハリスが優位に立つと思われる。 最近まで米大統領選挙はほぼトランプで決まりと思っていたが、まったくそうではなくなり、ハリスがガラスの天井を突き破り、大統領になる可能性は十分にあると今は考えられる。今回の大統領選挙は、トランプもバイデンも嫌というダブル・ヘイタ―が多数を占めると言われてきたが、バイデン撤退、若いハリスの登場で、局面は変わりつつあるのではないか。
岡崎研究所