妻が亡くなり「遺族年金」を受給するために手続きを進めています。今56歳なのですが、60歳の「定年退職」まで受給はできないのでしょうか?
配偶者と死別した人は遺族年金を受け取れる場合がありますが、受給開始のタイミングは配偶者を亡くしたときの年齢や性別によって異なるようです。 2024年現在、遺族年金制度の見直しが進められているようなので、何がどのように変わるのか確認しておいた方がいいでしょう。 本記事では、現行の遺族年金制度における男性の年金受給開始時期をはじめ、制度の改正が必要とされるようになった背景や、60歳未満の男性の変更点についてご紹介します。 ▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?
現行の遺族年金制度ではどのようになっているのか?
現行の遺族年金制度では、子どものいない夫婦が配偶者を亡くした場合、妻は30歳未満だと5年間の有期給付、30歳以上だと無期給付となっていますが、夫は55歳未満だと給付なし、55歳以上だと有期給付となります。 ただし、夫が遺族年金を受け取れるようになるのは原則60歳なので、今回の事例のように56歳で妻と死別した場合であっても4年間は給付を受けられません。 55歳未満の夫が遺族年金を受け取れないのは「男性は働いて生計を立てることが可能」という考えによるものです。
制度の改正が必要とされている理由
遺族年金制度の見直しが必要とされるようになったことには、働きに出る女性の割合が増えてきていることが影響しています。 現行の制度は、主たる生計維持者となるのは夫であり、妻が夫と死別した場合、生計を立てることは困難である可能性が高いという考えのもとで作られたものです。そのため、男女の保障内容に大きな差があります。 しかし、近年は働きに出る女性が増加し専業主婦世帯が減少するとともに、男女間の賃金格差も縮小されつつあります。このことにより、社会経済の状況は変化してきているといえるでしょう。 今回、遺族年金制度の見直しが必要になった理由には、制度上の男女比をなくすことが挙げられます。
制度の見直しにより60歳未満の男性の遺族年金は何が変わる?
遺族年金制度の見直しでは、60歳未満で妻と死別した夫への有期給付を創設することが検討されています。 現行制度のままだと55歳未満の男性は遺族年金を受給できませんが、見直し後は59歳まで有期給付、60歳からは無期給付となる可能性があります。今回の事例だと、現在は56歳で妻と死別した夫が遺族年金を受給できるのは原則60歳になってからとなっていますが、制度の改正によりすぐ受給できるようになるということです。 同時に、妻への有期給付の対象年齢の段階的な引き上げも検討されているなど、保障内容の男女差を少しずつ埋めていくことを目指していると考えられます。また、女性のみが対象となっていた中高齢寡婦加算についても、将来的に廃止する見込みです。