「やりたいことをやって死ぬときに貯金ゼロ」を叶える上手な老後資金の取り崩し方【FPが解説】
老後を迎えたら、残りの人生をできる限りエンジョイしたいもの。むやみに使って老後資金が足りなくなるのは困りものですが、老後まで我慢に我慢を重ねて資産をつくったものの、ろくに使いもせずにこの世を去ってしまった…これでは何の意味もありません。本記事では、講演、執筆、個人マネー相談等で幅広く活躍するお金のプロ、頼藤太希氏・高山一恵氏による著書『1日1分読むだけで身につく 老後のお金大全100』(自由国民社)から、老後資産を上手に取り崩すコツについて解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
資産は一度に現金化せず「運用」しながら取り崩す
資産を取り崩すときには、運用しながら少しずつ取り崩します。資産寿命が延ばせるうえ、売るタイミングを分散することで、安いタイミングで売ることを防げます。資産を取り崩しながら一定の利回りで運用した場合に、毎年いくら受け取れるかを計算する「資本回収係数」で計算してみましょう。 2,000万円の資産を運用せずに、毎月10万円ずつ取り崩すと、16年8か月(200か月)でゼロになります。しかし、年利3%で運用しながら20年かけて取り崩すことができれば、毎月約11万2,000円ずつ使える計算に。70歳から取り崩しても90歳まで資産が持つことになります。 コア資産とサテライト資産では、先にサテライト資産から取り崩します。株式、FXなど、値動きの大きなものから先に売却し、売却したお金はコア資産の預貯金、国内債券、投資信託、ETFなどに移します。コア資産の投資信託やETFは、運用しながら取り崩すことで資産寿命を伸ばします。そして最後に、定期預金や個人向け国債などの安全資産を取り崩していきます。
取り崩しは「前半定率、後半定額」がベスト
資産の取り崩しの方法には、「毎月〇円ずつ」と、資産を毎月一定の金額ずつ取り崩す定額取り崩しと、「毎月資産の○%ずつ」と、資産を毎月一定の比率で取り崩す定率取り崩しがあります。先ほどの「取り崩しシミュレーション」は定額取り崩しに該当します。 定額取り崩しは、毎月取り崩す金額がわかりやすいのですが、定率取り崩しよりも資産の減りが早いという難点があります。その点、定率取り崩しは定額取り崩しより資産が長持ちするのですが、年を追うごとに受け取れる金額が減ってしまいます。 「前半定率、後半定額」と、資産が多いうちは定率、資産が少なくなってきたら定額で取り崩すと、老後の前半、健康で動き回れるうちは多くのお金を取り崩すことができる上、資産寿命を延ばすこともできます。 楽天証券「定期売却サービス」など、金融機関によっては定率・定額での取り崩しを自動的にしてくれるサービスを用意しているところもあります。手間なく資産を取り崩せますので、あればぜひ活用しましょう。 頼藤 太希 株式会社Money&You 代表取締役 高山 一恵 株式会社Money&You 取締役 ※本記事は『1日1分読むだけで身につく 老後のお金大全100』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
頼藤 太希,高山 一恵
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