“歯磨き”が命を守る!? 避難所生活で「使える水が少ない」ときの“口腔ケアの方法”を紹介
手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、「災害関連死防止 口のケアが命を守る!?」というテーマでお届けしました。
あなたの非常用持ち出し袋のなかに、歯ブラシなどの「口腔ケアグッズ」は入っていますか? 災害が起きて避難所など生活することになったとき、歯磨きや入れ歯の掃除が十分にできないと、虫歯や歯周病などのトラブルだけでなく、インフルエンザ、誤えん性肺炎などを引き起こす可能性があります。2016年に発生した熊本地震では、県内の災害関連死218人のうち、呼吸器系の疾患で亡くなった方は63人と最も多くなりました。 避難所では、水不足で歯磨きを控えたり、入れ歯の手入れができなかったりして、口のなかの衛生環境が悪化しやすくなります。また、配布されるパンやおにぎりは、高齢者には飲み込みにくく、疲れやストレスで唾液が出にくくなると、より一層、誤えんのリスクが高くなると言われています。 日本歯科医師会は、2022年に「日本災害歯科支援チーム」を設立し、発災後約72時間以降に被災地に入って、歯科診療や口腔ケアなどの支援もおこなっています。 また、日本歯科医師会のWebサイトでは“災害時の口腔ケア”について紹介しています。例えば、歯ブラシがない場合は、ティッシュペーパーで汚れた歯の表面を取り除いたり、口のなかの汚れを洗い流すことや、唾液を出しやすくするマッサージ方法が掲載されています。そのなかから1つ紹介します。
【水が少ない場合の口腔ケアの方法】
大さじ2杯分の水を用意し、その水で歯ブラシを濡らして歯を磨きます。歯ブラシが汚れたら、ティッシュでふき取りましょう。その後、コップの水を少しずつ口に含んで2~3回に分けてすすぎます。 水が使えない場合は、耳の下やあごの下、頬をさすったり、もんだりして唾液腺をマッサージしましょう。そして「あ、い、う……」と発音するように大きく動かし、口の体操をしましょう。入れ歯は少なくとも1日に1度は外して、ウェットティッシュやガーゼなどで汚れを取りましょう。 また、非常用持ち出し袋に入れてもらいたい口腔ケアグッズとしては「液体歯磨き」「歯磨きシート」があります。 災害のときも平時と同じく注意してもらいたい口腔ケアですが、“災害への備え”を考えるとき、意外と後回しにされる項目かもしれません。しかし、非常時は“自分の身は自分で守る”が基本であり、口のなかのトラブルや感染症から身を守るために必要なアイテムです。ぜひ、災害備蓄の1つとして用意しておきましょう。 (TOKYO FM「防災 FRONT LINE」放送より)