がん疑いの小さな病変も発見…過疎地域で始まった『遠隔医療』技術とアイデアで都市部とのレベル平準化図る
阪口医師は2024年春で医師8年目で、冷静に処置を施すが、「プレッシャーはある」と話す。 紀南病院の阪口亮平医師: 「僕らが最終門番じゃないですけど、消化器的にアドバイスできる一番上の立場になっちゃうんで、そういうプレッシャーはありますね。自分が血止めできなかったら次に代わってもらうっていうのがないんで」
紀南病院がある「東紀州(ひがしきしゅう)医療圏」は、国の定める指標で「医師少数区域」で、医療ニーズに対して医師が足りないとされている地域だ。若手医師が、1年程度の入れ替わりで赴任して来る。
そんな彼らを支えるために始まったのが、「遠隔サポート」だ。 三重大学の池之山洋平医師: 「基本的にピントもしっかり合っていて、すごい上手に内視鏡撮れていると思いますね」 紀南病院の阪口亮平医師: 「ありがとうございます」
阪口医師に指摘しているのは、100km以上離れた三重大学にいる医師だ。紀南病院と三重大学との間で、「内視鏡検査の遠隔サポート」が始まっている。
年間約3000症例をこなす三重大学の医師が、検査の様子をリアルタイムで見て、モニターを通じてアドバイスする。相談相手になることで、都市部でも過疎地でも、医療レベルの平準化を図ろうという取り組みだ。
三重大学の池之山洋平医師: 「それは?それ病変ですね、先生。また見つかったね。一個ね」 紀南病院の阪口亮平医師: 「本当ですね」 三重大学の池之山洋平医師: 「この範囲で病気がありますね。大きさ的には数ミリ、6~7mmくらいかな」 胃カメラの検査を進めていくと、新たに、ガンの疑いがある小さな病変を発見した。2人の医師の目で、確実に捉えることができた。
三重大学の池之山洋平医師: 「しっかり見てよかったですね、先生。これ命とりになるね」 紀南病院の阪口亮平医師: 「いろんな病気を診てきた先生の目って、自分が教科書で眺めているよりも、ずっと価値のあるものだと思うんですね。自分のスキルアップにもつながると思いますし、患者さんにもメリットが大きいのかなと思います」