【Bリーグ】千葉ジェッツの実り多き2023-24シーズン「胸を張ってすばらしいシーズンだったと言える」【バスケ】
苦難のシーズンがもたらしたチームと若手の成長
前人未到の“3冠”には届かなかった──B1チャンピオンシップセミファイナルで、琉球ゴールデンキングスと対戦した千葉ジェッツは、最終第3戦を67-83で落としシーズンエンドを迎えた。 この試合は、序盤から琉球のタフなディフェンスの前に自慢のオフェンスを封じられ、前半を終えて31-46と15点のビハインド。3Qには一時1桁点差に押し戻し、流れをつかみかけた場面もあったが、一本欲しい場面にことごとくその「一本」が入らず、焦りからか普段なら見られないような連携ミスからのターンオーバーが続いた。生命線である3Pシュートは6/34(16.7%)、この試合前のCS5試合で平均8.4本にとどめていたターンオーバーも13を数え、特に4Qには5本を犯してしまった。 振り返れば、今シーズンは天皇杯と東アジアスーパーリーグ(EASL)を制覇したとはいえ、レギュラーシーズンは大いに苦しんだ。開幕から長崎ヴェルカに連敗するなどなかなか波に乗れず、2023年は13勝13敗のやっと勝率5割。年明けから破竹の12連勝を記録したものの、CS出場争いでは最後の1試合まで行方が分からないギリギリの戦いを続けた。これまでなら早々にCS出場を決めていたが、Bリーグ開幕から8シーズン目にして初の経験をした。また、二上耀や原修太、ディージェイ・ステフェンズらのケガ、あるいは体調不良にも悩まされた。 その中でリーダーの富樫勇樹やジョン・パトリックHCはしきりにチームの成長、そして若手の成長が大切であると話してきた。富樫はフィリピン・セブ島で行われたEASLファイナル4の後にこう話している。 「若手が多い中では、こういう経験を積めば積むほど良いと思います。Bリーグのシーズンとは別に、それとプラスして成長の機会があると僕は捉えています。僕にとって、EASLはほかのチームよりもむしろアドバンテージ。さらに、優勝という経験で若手もベテランも含めて、チームとして上のレベルにいけたと思います」 皮肉にも苦しい台所事情とEASLと並行した過密スケジュールは、富樫やパトリックHCが期待した若手の成長、そしてチームの成長を促す大きな助けになった。若手という面では、特に今季開幕から主力としてコートに立った小川麻斗と金近廉、特別指定選手として年明けからチームに加わった内尾聡理の3人はそれぞれに及第点のシーズンを送ったといえるだろう。 小川はRSとCSの全66試合に出場し、うち17試合に先発出場。特にRSでは平均約16分のプレータイムで4.6得点を記録し、ディフェンスでも大いに奮闘した。金近はまだ波が激しいが、計63試合で6.2得点。シーズン初勝利となった昨年10月14日の信州ブレイブウォリアーズ戦ではシーズンハイタイの22得点を挙げるなど、爆発力は折り紙付きだ。そして内尾は29試合の出場ながら、3月末からはスタメンに定着し、エースストッパーとして貢献。宇都宮ブレックスとのクォーターファイナルでは敵エースのD.J・ニュービルのマークを任されるなど、3人の中で唯一CSで出場時間を伸ばしてみせた(10:41→14:42)。彼ら3人の大舞台でも物おじしないプレーぶりは、間違いなく富樫の言う「経験」を重ねたからこそだ。